【2⽉6⽇ Peopleʼs Daily】中国政府の交通運輸部はこのほど、「自動運転車輸送安全サービスガイダンス(試行版)」(以下、「ガイド」)を発表した。このことは、中国で自動運転技術の商業化と応用に向けての「加速ボタン」が押されたことを意味する。

 中国の自動運転関連産業と市場規模は、急速な成長を見せている。現在までに全国で、国家級測定試験モデル区17か所と、コネクテッドカー先導区7か所が設けられた。自動運転車の試験が認められた道路は累計2万2000キロ超で、試験走行距離は累計7000万キロを突破した。北京市、上海市、広州市(Guangzhou)、深セン市(Shenzhen)などでは指定された区間と時間帯に自動運転によるバスやトロリーバス、タクシー、物流用車両などの商業化試験を行うことが認められ、応用規模は拡大しつつある。

 湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)経済技術開発区では、タクシー配車アプリの「蘿蔔快跑(ルオボ・クァイパオ)」で出発地点と到達地点を設定すれば、全無人自動運転タクシーがすぐにやってくる。乗り込んでから「確認」をクリックすれば、車両は既定のルートを走行していく。車両は魚眼カメラやレーザー感知装置などで障害物を正確に回避し、道路状況に基づき走行速度を自動調整する。武漢市では2022年8月にこのサービスが始まって以来、自動運転車300台が投入された。

 全国都市部での自動運転バスは200台、自動運転タクシーは1500台を超え、自動運転物流用車両は約1000台に達した。百度(Baidu)が主導する自動運転実用化計画のアポロでは走行距離が7800万キロを超え、10以上の都市でサービスを提供するようになった。

 自動運転で最も重要なことの一つが安全の確保だ。「ガイド」は安全生産制度、輸送安全保障、運行状態情報管理、車両動態監視、安全告知、応急処置などについての基準を定めた。

「ガイド」はまた、「自動運転車の同伴運転者や運行安全保障者を『安全員』とする」と明記して安全員の概念を打ち出して、責任の所在を明確にした。交通運輸部道路科学研究院の李斌(Li Bin)副院長によると、「ガイド」はそれぞれの業種のビジネスモデルを十分に考慮している。つまり、業種ごとに安全員の配置や技能と資質の基準を定めた。例えばタクシー業では、車両を遠隔で監視して安全を確保する人員の数を「車両3台当たり1人以上」と定めた。

「ガイド」はさらに、自動運転によるタクシーやバスなどで旅客輸送をする事業者には、運送人責任保険に加入することを義務付けた。

 交通運輸部科学研究院の王先進(Wang Xianjin)副院長は、「『ガイド』により、自動運転車を利用する場合の最低の安全基準が構築されました。同時に、自動運転の革新的応用のためにも十分な余地が残されています」として、「ガイド」は自動運転技術の運輸分野での応用をさらに促進する役割を果たすとの見方を示した。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News