【2月1日 CNS】最近、中国のSNS上で<#英語が分からず女子トイレに入って告発された夫>というハッシュタグ(検索ワード)がトレンド入りした。ショッピングモールのトイレの標識がイラストと英語で書かれていたため、男性が間違って女子トイレに入って告発されてしまったのだ。中国メディアによると、ショッピングモールはすぐに謝罪し、トイレの標識を分かりやすいものに変更したという。

 この問題は解決されたが、論争はまだ続いている。中国ではショッピングモールやホテル、景勝地、病院などの公共の場所にあるトイレの標識が、特に高齢者や子どもにとって分かりにくくなっているからだ。

 中国語が書かれておらず、抽象的な模様だけの標識もあり、混乱する人が後を絶たない。分かりにくい標識の例としては、上向きまたは下向きの三角形、水滴や斜めの線を組み合わせた図形や、京劇の面、敦煌の壁画など芸術的なパターンだけのものもある。

 性別の案内が不明確であるだけでなく、一部のショッピングモールや景勝地ではトイレの標識はすべて英語で書かれており、その英語の標識ですら見つけにくい場所にある場合も存在する。

 こうした状況に対して、「デザイナーの創造性や美的表現の追求は尊重するが、一般人のニーズにも配慮してほしい」などと要望がSNS上に出ている。

 公衆トイレの基準については、2016年に「都市公衆トイレ設計基準」が当局から公布されている。だが、この基準にはトイレ標識について明文の義務はない。

 一方で、北京市、南京市(Nanjing)、江蘇省(Jiangsu)、河北省(Hebei)石家荘市(Shijiazhuang)、広東省(Guangdong)広州市(Guangzhou)など多くの都市では、公衆トイレの標識に関する統一基準が設けられている。

 その中には、公衆トイレの標識に中国語で男性と女性と明記し、男性の標識は青色、女性はピンク色で統一することを定めたものや、男性と女性の文字やイラストを使用することを義務付けたものなどがある。

 アモイ大学ジャーナリズム・コミュニケーション学部の鄒振東(Zou Zhendong)教授は「公衆トイレの標識はささいなことのように見えるかもしれないが、実際には人々の日常生活に関係している。どのような標識がNGなのかを明確にして、設置者に創造性の余地を十分に与えながらも標識の最低ラインを設けるべきだろう」と話している。(c)CNS/JCM/AFPBB News