【2月2日 AFP】スペインで、イエス・キリスト(Jesus Christ)を描いたイースター(Easter、復活祭)週間のポスターが、国内の超保守派から「女々しい」「ローマカトリック教徒に不快感を与える」として激しい反発を買っている。

 南部アンダルシア(Andalusia)州セビリア(Seville)のアーティスト、サルスティアーノ・ガルシア(Salustiano Garcia)さんがデザインしたこのポスターは、死から復活したキリストを描いたもの。血のように真っ赤な背景の前に半裸のキリストが立ち、下半身は白い布で覆われている。

 セビリアのイースター週間主催者団体は「聖週間の輝かしい一面」を「一流画家の最も純粋なスタイル」で表現したと説明している。

 だがSNSでは「性的」なポスターだとして多くの人が非難。超保守派のカトリック団体IPSEは、キリストを「女々しく」描き、聖週間の精神にそぐわないとして、アーティストに公開謝罪を要求した。

 また極右政党ボックス(VOX)のハビエル・ナバロ(Javier Navarro)氏もX(旧ツイッター)で「挑発的」なポスターだと述べ、非難の大合唱に加わった。

 だが、作者のガルシア氏は右派系紙ABCに、自分の息子のイメージに基づき「畏敬の念」を込めて描いた「優しくエレガントで美しい」キリスト像だと語った。

 またスペイン与党・社会労働党(PSOE)の州トップ、フアン・エスパダス(Juan Espadas)氏は即座にポスターを擁護。この作品によって引き起こされた「同性愛嫌悪や憎悪」を非難した。

 イースターの前の聖週間はカトリック色の濃いスペインで非常に重要で、特にセビリアはその祝祭の中心地として知られている。

 一方、スペインはフランシスコ・フランコ(Francisco Franco)独裁体制が終わった3年後の1978年に同性愛を非犯罪化し、2005年からは同性婚や同性カップルの養子縁組を認めるなど、LGBTなど性的少数者の権利に関して世界で最もオープンな国の一つだ。(c)AFP