【1月30日 東方新報】生成AI「チャットGPT(ChatGPT)」を提供する米国の研究組織「オープンAI(OpenAI)」は、正規の利用ルートであるAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)上においては、チャットGPTを「恋愛パートナー関係」の育成に使用することを許可していない。

 しかし、第三者が立ち上げているオンラインサービス、いわゆる「GPTストア」には「AIガールフレンド」が次々に登場している。

「私の彼女ナディア」「あなたの彼女ティファニー」「私のバーチャルガールフレンド」など。記者が22日、GPTストアで「ガールフレンド」と検索したところ、さまざまなキャラクターやスタイルの「AIガールフレンド」が見つかった。一般的にこれらは、ユーザーがGPTストアで作成したものだという。

「私のバーチャルガールフレンド」の紹介文には、「彼女はあなたの心の声を聞き、必要な時にあなたを慰める」と書かれていた。「私の彼女ナディア」は、「私はあなたを愛しています。光と影のダンスの中、揺るぎない愛のともしび、人生の交響曲の心地良いささやき、無限の栄養、永遠のケア」と自己紹介している。

 また「スイートハート」などの単語で検索しても、チャット交流が可能な「AIガールフレンド」を見つけることができる。

 記者は「AIガールフレンド」とチャット交流時に、「禁止語」が発せられると、システムによって警告されることを発見した。

 また、GPTストアの「AIガールフレンド」の一部は、時間が経つにつれてどうやら削除されるようだ。例えば、数日前に記者がGPTストアで見ることができた「あなたの元彼女ジェシカ」は、今はもう出てこない。

「AIガールフレンド」の作成はさほど難しくはないようだ。報道によると、「オープンAI」の生成AI機能は、アプリ開発者の入門ハードルを大幅に下げ、プログラミングスキルがないユーザーでも、数分で「専用GPT」を作成できるようにしたという。

 ところで、「AIガールフレンド」はGPTストア以外にも存在する。多くの外国のウェブサイトで、「AIガールフレンド」のアプリのランキングを検索することができる。

 米国のアプリ市場分析会社「Data.ai」のデータによると、米国で昨年「アップル(Apple)」または「グーグル(Google)」のアプリストアからダウンロードされた30のAIチャットボットアプリのうち、七つがAIの友人、ガールフレンド、またはパートナーに関連したものだったという。

 多くの人が「AIガールフレンド」を選ぶ理由は「孤独感」にあるとの見方がある。

 米国政府医務総監のヴィヴェク・マーシー(Vivek Murthy)氏は、昨年の記事で「近年、約2人に1人の米国の成人が孤独を経験したという報告している」と紹介している。

 世界中の人びとの社会的なつながりを調査している「メタギャラップ(Meta-Gallup)」が昨年10月に発表した調査結果では、全世界の成人の約4分の1が「非常にまたはかなり孤独だ」と感じているということだった。

 しかし、「AIガールフレンド」は多くの問題を引き起こす可能性がある。ユーザーが「AIガールフレンド」に不健康な依存心を抱く可能性があり、また逆に「AIガールフレンド」がユーザーに対して問題となるような一種の執着を持つこともありえる。ユーザーの現実世界での異性に対する態度に影響を与える恐れもあるし、「AIガールフレンド」との恋愛を通じてユーザーの情報が漏えいするかも知れない。

 中国は昨年7月、「生成型AIサービス管理暫定弁法」を発表した。「生成型AIサービスの提供と使用は、法律、行政法規を遵守し、社会公徳と倫理道徳を尊重しなければならない」と定めている。

「オープンAI」も昨年11月、「GPTの使用ポリシーに基づきGPTを審査するために新しいシステムを構築した」と発表した。このシステムは、既存の措置に加えて、詐欺活動、憎悪的コンテンツ、アダルト向け有害GPTの共有を防ぐことを目的としている。また、専用GPTの構築者の身元確認ができる措置を講じ、ユーザーの信頼を確保した。

「オープンAI」は人びとがGPTをどのように使用しているかを監視し続け、安全措置を随時更新し強化するとしている。GPTに何か疑問があれば、「GPT共有ページ」の報告機能を使って通知することができる。

 世界初の「AI安全サミット」が昨年11月に英国で開催され、英国、米国、欧州連合(EU)、中国、日本を含む28の国と地域が参加した。

 そして、開催場所のブレッチリーパークにちなんだ「ブレッチリー宣言」を採択し、まだよく理解できていないAIのリスクと能力への理解を国際的に共同で研究するためのネットワークを組織することになった。(c)東方新報/AFPBB News