【2月4日 AFP】スウェーデンの組み立て家具大手イケア(Ikea)の中国・上海店では、毎週火曜日になると、お見合い相手を探す中高年のグループでカフェテリアがにぎわう。10年以上前は参加者が店側から追い出されそうになったこともあったが、今も変わらず、出会いを求める人々で盛り上がりを見せている。

 参加者は、イケア定番の「スウェーデン・ミートボール」は注文しない。お茶や軽食を持ち込み、中にはアルコールを持参する人もいる。

 高齢化が進む中、社会構造の変化に直面した独り身の中高年は、自ら解決に乗り出し、イケアを出会いの場として利用してきた。

「何も恥ずかしくはない。愛が必要なのは若い人も高齢者も同じだ」と話すのは、メークをばっちり決めたチンチンさんだ。以前は養護施設の責任者として働いていたという。

 騒々しいカフェテリアは、高齢者施設というより高校の食堂の雰囲気に近い。

 光沢のある毛皮やヒョウ柄の洋服、革製の帽子、ミラーレンズのサングラスなどを身に着けた人々が、テーブルを囲んで談笑したり、あちこちに移動しながら別の参加者に声をかけたりしている。

 持ち寄ったミカンやお茶、時には安価なアルコール飲料などを分け合う。テーブルにはミカンの皮やナッツの殻が散らばっていた。

 公式データによると、中国の60歳以上の人口は2億9700万人超。このうち4分の1は独身だ。以前は大家族が多かったが、今は独り暮らしをする中高年も多い。

 首都・北京にある中国人民大学(Renmin University)が行った2016年の調査では、60歳以上の4分の1が孤独だと思ったことがあると回答している。

 お見合いに参加した元バス運転手のグーさん(73、男性)は、「いつも寂しい。この年になると、人生がつまらなくて…パートナーが欲しいとずっと思っていた」と話す。

 グーさんは、公共交通機関を利用して1時間半かけてイケアにやって来る常連だ。だからといって、パートナーに巡り会えるチャンスを必死に求めているというわけでもない。

「ここに来ると、くつろげるし、楽しい」と話し、「家の中でぽつんと過ごし、誰かの顔を見るといえば鏡に映った自分の顔だけというような生活よりずっとましだ」と続けた。