中国各地で野鳥の保護と電力網の安全確保を両立
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【2⽉3⽇ Peopleʼs Daily】鋭い爪で獲物を捕らえた肉食鳥類が、しばらく旋回してから110キロボルトの電線が通る送電鉄塔のてっぺんに降りた。そこには人が作ったこの鳥の「家」がある。場所は四川省(Sichuan)アバ・チベット族チャン族自治州(Ngawa Tibetan and Qiang Autonomous Prefecture)ゾルゲ県(Zoige)。送電会社の国家電網傘下のアバ供電のスタッフは、ハヤブサやトビなどのために鳥の巣を一つずつ作った。
同社デジタル化作業部の劉勇(Liu Yong)主任は、「ゾルゲ湿地は水草が豊富で、200種類以上の鳥類が生活しています。かつては針金や牛の毛などをくわえてきて、送電鉄塔に巣を作っていました。落雷や外力による破壊に次ぎ、鳥は送電停止の3番目の原因でした」と説明した。
周囲には高木が少ないので、多くの鳥が送電鉄塔を巣作りの場所に選ぶ。かつては鳥よけ装置を使ったが、効果は十分でなかった。そこで「逆転の発想」で、人工巣を作って鳥を安全な場所に誘導することにした。
アバ供電は2023年4月、送電設備に人工鳥の巣を32個、高精細映像装置を14台設置した。大型鳥類が露出した電線に触れる問題に対しては、施設の一部で絶縁化処理を行った。
国家電網の関係者によると、国家電網は2016年から「命の鳥の巣」行動として、高原草原地域の送電線周辺の希少な猛禽(もうきん)類の習性を研究した上で人工巣を開発した。
「命の鳥の巣」は内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)、四川省、チベット自治区(Tibet Autonomous Region)、甘粛省(Gansu)、青海省(Qinghai)、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)で進められており、設置された人工巣は累計5200個以上、ふ化した幼鳥は4000羽近くに達した。
江蘇省(Jiangsu)塩城市(Yancheng)の条子泥湿地は、東アジアと豪州などを移動する渡り鳥にとって重要な場所だ。11月から翌年6月にかけて、国家一級重点保護野生動物であるコウノトリなど多くの鳥類がここで過ごす。
国家電網傘下の塩城供電の送電点検センターの大型スクリーンに、90キロ以上離れた条子泥湿地付近の送電塔のリアルタイム映像が示された。コウノトリのつがいが、巣を設営している。
塩城供電科学技術デジタル化部の宋彦秋(Song Yanqiu)氏は「カメラが鳥の巣を1か所発見するごとに、自動的にドローンが確認に行き、映像を撮影します。コウノトリなどの希少鳥類が活動している兆候があると、職員が現場に急行して防護装置を設置します」と説明した。この方法の導入で送電施設周辺の鳥類保護装置の利用率が約20パーセント向上し、鳥類に対しての「見守りながらも干渉せず」が実現したという。
安徽省(Anhui)では、電力網関係者が開発したシステムにより、鳥類を識別して光を放射することで危害を加えずに鳥の飛行経路を誘導している。山東省(Shandong)では、新型複合絶縁防鳥カバーが開発され、鳥に起因する電力網の故障が大幅に低下した。
国家電網は2021年以降、天津市(Tianjin)、江蘇省、安徽省、江西省(Jiangxi)、山東省など18の省級行政区の拠点23か所で「渡り鳥ライフライン」プロジェクトを展開している。同プロジェクトにより保護された鳥は計1万3000羽以上に達した。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News