【1⽉29⽇ Peopleʼs Daily】中国・浙江省(Zhejiang)台州市(Taizhou)の黄礁島で漁船が接岸した。船長は漁獲の水揚げをしながら廃棄漁網や発泡スチロール、ペットボトル、ビニール袋などの海洋廃棄物を選別し、近くの「青の小屋」に届けるよう船員に頼んだ。「青の循環」の取り組みの第一段階だ。

「青の小屋」は海洋廃棄物の保管処理場所で、廃棄物はここで分別され、圧縮される。現場での収集の積極性を高めるため、海洋の廃プラスチックの買い取り価格は一般的なごみよりもかなり高い。

 台州市椒江区の港には「海洋クラウド倉庫」がある。廃棄物のスマート分類、一時貯蔵、洗浄、前処理を行う施設だ。

 海洋廃棄物は次に、浙江省湖州市(Huzhou)安吉県(Anji)にある威立雅華菲高分子科技(浙江)に運ばれた。同社は公益団体の「青の連盟」の会員だ。同社の付現偉(Fu Xianwei)運営総監は、「生産プロセスの無人化、製品の標準化、高品質化をほぼ実現しました」と述べた。海洋廃棄プラスチックはここで、最終製品の素材として利用されるプラスチックの粒になる。

 同じく「青の連盟」会員の杭州新生印染は、海洋プラスチック由来の各種の布地を作っている。同社のマーケティング部門の責任者は、「技術面の難問を解決したことで、弊社の海洋プラスチック由来の布地や衣服は、品質や機能の面で他の再生品に少しも劣りません。国際市場でも人気があります」と述べた。

 海洋プラスチック由来の製品には出荷前に、由来を保証するQRコードが付けられる。製品のファイルケースのQRコードをスキャンしたところ、「このファイルケースには6.5グラムの海洋廃棄プラスチックが使われました。ペットボトル0.32本分のプラスチック消費を削減し、炭素排出量を8.45グラム削減しました」と表示された。また、「海から商品棚まで」の流れ全体を地図で見ることができる。

「青の循環」の発起人の一人で浙江藍景科技の共同創業者である陳光輝(Chen Guanghui)氏は、「多くの企業が社会的責任を果たすために、価格が高くても海洋プラスチック再生粒子および作られた製品を調達したいと考えています」と説明した。従来型の手段では、プラスチックが実際に海洋プラスチック廃棄物由来であるかどうかを判別することは困難だったが、同社はブロックチェーン技術を利用した可視化トレーサビリティーシステムを開発してこの問題を解決した。

 浙江省では現在までに企業237社と船舶1万200隻が「青の循環」に加わった。また、沿海部在住の高齢者や漁師、ボランティアの参加者は延べ6万1800人に達した。プロジェクトを通じて累計1万900トンの海洋廃棄物が収集された。一方で、現場の収集協力者は約1万3000元(約26万3000円)の収入を得た。

「青の循環」は2023年、環境分野での国連(UN)の最高表彰である国連環境計画(UNEP)の「地球のチャンピオン」に選出された。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News