ハマス、報告書で越境攻撃正当化 ガザの死者2万5000人超に
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【1月22日 AFP】イスラム組織ハマス(Hamas)は21日、昨年10月7日に行ったイスラエルへの越境攻撃に関する報告書を初めて公表した。襲撃を正当化する一方で「過ち」を認める内容で、イスラエルに対しては、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)における「侵略」の終結を求めている。
報告書は16ページから成り、越境攻撃はイスラエルによるパレスチナ領の占領に抗議するために「必要な措置」であり、イスラエルで拘束されているパレスチナ人の釈放につなげるための手段だったと主張。その上で、「イスラエルの安全保障・軍事システムが一気に崩壊し、(ガザとの)境界線一帯で混乱が生じたため、いくつかの過ちが起きた」と認めた。
ハマスは、イスラエルに越境した際、キブツ(生活共同体)や野外音楽祭でイスラエル人や外国人を襲撃した。
ハマスは報告書で、戦闘員は「イスラムの価値」を尊重しており、民間人が標的になったとすれば、それは「占領軍(イスラエル軍)との交戦時の偶発的な出来事だった」と釈明した。
イスラエルの公式発表に基づくAFPの集計によると、ハマスによる襲撃で民間人を中心に約1140人が死亡した。ハマス戦闘員による性暴力も指摘されているが、生存者の証言と法医学的証拠が乏しく、立証困難となっている。
ハマスはこのほか約250人を人質として拉致。イスラエル側は、うち約132人がガザで依然拘束されているとしている。
ハマスは今回の報告書で、パレスチナ人が強いられた苦難への「法的責任」をイスラエルに負わせると強調。「占領終結に向け世界中の世論によって圧力をかける」よう呼び掛けた。
ハマスが運営するガザの保健当局によると、イスラエルの報復攻撃による死者は、女性や子どもを中心に2万5000人を超えている。
ハマスの報告書発表を受け、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は動画を公開。ハマスが人質解放と引き換えに要求しているのは「戦争終結」「イスラエル軍のガザ撤退」のほか、拘束されているパレスチナ人の釈放、そして権力の維持だと指摘した。
「同意すればわが国の兵士が無駄死にしたことになる」とし、ハマスの条件を受け入れる考えはなく、「完全勝利」を目指すと改めて表明した。(c)AFP