10日午前、ソウル地下鉄4号線の座席のない車両で市民たちが立って出勤している(c)news1
10日午前、ソウル地下鉄4号線の座席のない車両で市民たちが立って出勤している(c)news1

【01月18日 KOREA WAVE】「この列車は混雑を緩和するために座席のない車両で試験運行中です。列車利用のご参考にしてください」

10日午前7時50分ごろ、タンゴケ駅から舎堂(サダン)方向に向かうソウル地下鉄4号線の列車が出発した。普段のように列車はすぐに混雑したが、席に座った人はいなかった。座席があるべき場所に寄りかかったまま立っている人たちでいっぱいだった。「座席のない列車」の初めての出発だった。

座席のない列車モデル事業は出勤時の4号線混雑緩和のために施行された。ソウル交通公社は同日から座席をすべてなくした列車を4号線に投入した。まず、出勤時間帯に1車両だけを試験的に連結する。ただ、座席のない列車にも優先席はそのまま残された。

この車両のドアには「混雑緩和のために座席のない車両の試験連結中です」という案内文が貼られていた。そして同じ内容の案内放送が停車する度に繰り返された。

午前8時4分ごろ、すいていた列車は水踰(スユ)駅から乗客で混雑し始めた。誠信(ソンシン)女子大入り口駅に到着するころには身動きの取れない「地獄鉄」状態になった。ソウル交通公社によると、4号線は昨年第3四半期時点で最高混雑度が193.4%と、1~8号線の中で最も高い混雑度を記録した。4号線がモデル事業の対象に選ばれた理由だ。

座席のある車両とない車両の違いは一目では簡単に区別できなかった。混雑が激しい恵化(ヘファ)駅に到着するころには、すでに座席があるかどうかもわかりにくかった。混雑区間で乗り込んできた乗客たちは座席がないこともわからないまま混雑したドア周辺に立って、下車していった。

市民の反応はさまざまだった。

出勤途中に座席のない列車に乗ったビョン・ヒジンさん(33)は「人が大勢乗りすぎていて、混雑緩和効果があるのかよくわからない。どうせ立って行くので座席がなくても不便なことはないが、人がたくさん乗れるため、もっと混んでいるようで、かえって辛い」と話した。

20代の会社員女性キム氏も「毎日4号線に乗っているが、大して差が感じられない。乗客があまりにも多くて効果がよくわからない」と首を傾げた。

約30年間、4号線に乗っているというチョン・ヨンスクさん(60)は「もともとこんなに混雑してなかったが、南楊州榛接(ナムヤンジュ・チンジョプ)方面に路線が延長されて乗客が増えた。出退勤時間のたびに死ぬかと思うほど混雑するため、このような案が出てきたのだろう」としながらも「座席をなくして人をさらに詰め込むことができるだろうが、それだけ事故の危険も大きくなるのではないかと心配だ」と安全に対する懸念を示した。

一方で、肯定的な反応も少なくなかった。利用層を区分して座席のない車両をさらに増やせばいいだろうという意見も出た。

水踰に住むホ・ヨンスンさん(61、女)は「座席をなくしたら、もう少し快適になりそうだ。どうせこの時間は混雑しているのに、立っている空間がとても狭かった。妊婦の席も広報されて定着したように、今回のモデル事業も広報されれば、このような車両を利用する若年層が使えるよう、区分して拡大してほしい」と話した。

40代会社員男性のチュ氏も「朝の出勤途中にこのように運行してもかまわない。もう少しは快適になるだろう。座席のない列車を増やすことに賛成だ」と述べた。

この車両の優先席に座っていたキム氏(82・男)は「やってみないとわからない。時間をかけて効果を見極めなければならない」と強調した。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News