【1月14日 AFP】13日付のスイス紙ルタンは、ローマ教皇庁(バチカン)非公認の超保守派修道会である聖ピオ十世会(Society of Saint Pius X)の司祭らが、数か国で児童生徒に性的、心理的、物理的な暴行を加えていたとする調査結果を報じた。

 同紙は、同会が行った調査報告書など20点以上の内部文書を入手。その結果、「創設されて以降、2020年までに欧州や他の地域で幅広く暴力行為がなされていたことが判明した」としている。

 同会は世界で160の小修道院と120の学校を運営。同紙は、フランスやベルギー、スイスで元児童生徒やその親、被害者支援団体に聞き取り調査を行ったほか、訴訟記録を調べた。ただ、同会自体は取材に応じなかった。

 ある被害者支援団体は、「問題のある司祭」は約60人に上るとみている。

 スイス南西部バレー(Valais)州出身のフランソワ・ド・リードマッテン(41)さんの場合、同州中部にある同会運営の小学校に通っていた頃から虐待が始まった。「私たちは他の児童の前で棒でたたかれ、ズボンを下ろされた」と振り返った。

 8歳になって送られた仏ラペロディエール(La Peraudiere)の寄宿学校でも、シャワーを浴びた後に寮監から性的暴行を受けた。「散々殴られた直後にキスされる」こともあった。

 聖ピオ十世会は、1970年にフランスのマルセル・ルフェーブル(Marcel Lefebvre)大司教が創設。現在、60か国以上に590人の司祭と50万人近くの信者を擁する。スイス中北部メンツィンゲン(Menzingen)郊外に本部がある。(c)AFP