【1月13日 AFP】スウェーデンは12日、同国ではキャッシュレス決済が主流となっているが、生活必需品の買い物に関しては現金決済を維持する方針を示した。

 スウェーデンの中央銀行リクスバンク(Riksbank)の調査によれば、最近の買い物で現金を使った人の割合は、2010年には40%だったが、2022年にはわずか8%となった。

 二クラス・ビークマン(Niklas Wykman)金融市場相は、「特にさまざまな理由からキャッシュレス決済の利用が困難な層が特定の商品を買う際に現金決済できるよう、早急に検討する必要がある」と指摘。

 有事に備えても、現金決済の維持が重要だと述べた。

 政府は、こうした考えは、ロシアが2022年2月にウクライナに侵攻して以降、同国で稼働中のものは希少となった現金自動預払機(ATM)の引き出し件数が30%増加した事例によって裏付けられていると指摘している。

 European Cash Management Companies Associationによれば、欧州ではチェコやスロバキアなどの複数の国で同様の傾向が見られる。

 スウェーデン政府が現金決済を維持すべきだとの考えを示している特定品目は、食料、燃料、医薬品などだ。

 本件に関する議会特別委員会の委員長は、「今のスウェーデンでは現金決済は難しい」と語り、人口約1050万人の同国で100万人がデジタル世界から取り残されていると指摘。特に有事には複数の決済手段があることが重要だと述べた。

 今やほとんどの国民が現金を過去の遺物だと考えているが、市民保護局は国民に対し、現金を用意しておくことを推奨している。

 特別委は年内にも議案を提出する見通しだ。(c)AFP