【1月11日 東方新報】中国内陸部の甘粛省(Gansu)臨夏回族自治州(Linxia Hui Autonomous Prefecture)で12月18日深夜に起きたマグニチュード(M)6.2の地震は、死者・行方不明者が150人を超えるなど被害が広がっている。現地は氷点下10度以下の酷寒地帯。同省政府は、被災者が暖かく冬を過ごせるよう、仮設住宅1万5000戸を突貫工事で建設している。

 被災地には国内各地からボランティアが駆けつけ、テントや衣類などの支援物資も届き始めた。温かい食事の炊き出しも始まっている。甘粛省の姉妹都市である秋田県も年末に200万円の見舞金を届けている。

 2008年5月に死者・行方不明者9万人を超えた四川大地震がきっかけとなり、中国では一般市民がボランティアとして被災地に入るようになった。当時、大勢のボランティアや支援物資が一か所に集中して混乱する事態を避けようと、中国政府が地域や企業ごとに支援対象を割り振るマッチングに乗り出し、その後の支援モデルになっている。

 今回の甘粛地震でも、地方政府や企業がボランティアなどの受け皿になるモデルは比較的順調に機能しているようだ。

「私たちは臨時郵便局を開設していますが、そこに『愛の本屋さん』を併設しました。そこに、被災した子どもたちを集め、絵を描いたり、古詩を朗読したり、ゲームをしたりする活動をしています」

 こう語るのは、震源地に近い中国郵政公社の甘粛省石山県支店の馬作明(Ma Zuoming)支店長だ。

 被災地では、衣食住のサポートは比較的早く届くが、幼稚園や学校などの再開は後回しになりがちだ。テント張りの臨時郵便局では、小包の集配や預金通帳の再発行だけでなく、ボランティアを受け入れて、子どもたちのための「愛の本屋さん」を開いている。

「愛の本屋さん」で絵を描いていた馬俊麗(Ma Junli)君は、中国メディアの取材に「ここに遊びに来るのが大好き。おじさんやおばさんが物語を教えてくれるし、積み木で遊んだりしてくれる」と笑顔をみせた。テントの外では、何人もの子どもたちが「ハンカチ落とし」のゲームをしていた。

 ちなみに、日本でも遊ばれる「ハンカチ落とし」は中国が起源だといわれる。ルールも同じだ。円の内側を向いて子どもたちが座り、鬼が外側を回りながら、そっとハンカチを後ろに落とす。落とされたことを知らず、1周してきた鬼にタッチされたら、その子が鬼になる。ハンカチを落とされたことに気付けた子は、ハンカチを持って鬼を追う。日本と異なるのは、中国では「ハンカチ落とし」の歌を歌いながら遊ぶことだ。

 この歌を作詞した鮑侃(Bao Kan)さんは元教師。戦争で親がいなくなった子どもたちを預かる託児所で働いていた時、子どもたちと遊ぶためにハンカチ落としのルールをそのまま歌にした。後に中国の有名な作曲家である関鶴岩(Guan Heyan)によって童謡になり、世界に広がっていったという。

 そんな由来を知ってか知らずか、被災地の子どもたちは「ハンカチ落とし」に夢中のようだ。つらいことがあっても笑顔を忘れないでいてほしい。元教師が託した願いは、寒空の下でも元気に歌われている。(c)東方新報/AFPBB News