【1⽉11⽇ Peopleʼs Daily】中国の建設業界は近年、科学技術の積極的利用などによる質と効率の飛躍的向上を実現し続けている。

 新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)西部のムスタグアタ山の付近には「海抜ゼロ天文台」と呼ばれる施設がある。標高4500メートル以上で、酸素濃度は平地の約55%なのに、建物内部では高山病の心配がない。

 この建物は密閉性を高めて空気に圧力をかけることで、内部気圧はほぼ「海抜ゼロ状態」だ。中国建築先進技術研究院の王開強(Wang Kaiqiang)院長によると、最大の困難は建物の壁の耐圧性だった。一般的な建物ならば1平方メートル当たり数百キロ程度の耐圧性でよいが、4トン以上を確保せねばならなかったという。「海抜ゼロ建物」はすでにホテルや民家などにも使われており、累計床面積は2000平方メール以上に達した。市場はさらに広がる見込みという。

 遼寧省(Liaoning)瀋陽市(Shenyang)で建設が進められている高さ300メートル以上のビルの最上階では、技術者が精密測位の作業を行っていた。持っているのは筆箱ほどの大きさの機器だ。北斗(Beidou)衛星導航システムの受信機で、600メートルの高さの建物で、誤差は2ミリ以下だ。

 ずれは建築物全体の品質に関わる。従来はレーザー装置やスチール製定規などを使っていたが、300メートル以上の建物では強風や乱流などによる揺れで誤差が大きくなる。北斗利用の測定器を開発した建設会社の中国建築一局の関係者によると、現在の装置はすでに3世代目だ。非常に高性能になり、すでに世界の50件超の超高層ビルの建築で使われている。

「グリーン化」も重要だ。広東省(Guangdong)深セン市(Shenzhen)にある中建科技集団の複合モジュール建築(CMC)グローバル研究開発本部が手掛ける工事現場では、必要な部材がすべて工場から運ばれてくる。現場では組み立てるだけだ。同社の樊則森(Fan Zesen)副社長は「現場の施工量を従来の20%にし、工期は半分になり、建築ごみを70%削減しました。でも、建設費用は同じです」と説明した。

 さらに最近の建物では各種の手法で空調などのエネルギー使用を減らし、一方では高性能の太陽光発電装置で発電して蓄電もする。2022年末までに中国全国で建設されたグリーン建築面積は累計100億平方メートルを超え、都市部での新築に占める割合は約90%に達した。

 海外進出も加速している。総敷地面積が約50万5000平方メートルのエジプトの新行政首都では工事が秩序正しく進んでいる。総延長約170キロのバングラデシュのパドマ橋鉄道連結線が8000万人に直接の恩恵をもたらす見通しだ。2022年に完成した中国の対外請負工事の売上高は2012年比32.9%増の1549億9000万ドル(約22兆1000億円)に達した。

 中国建築業協会の景万(Jing Wan)副会長は、「建築業は工業化、デジタル化、スマート化の水準を引き上げ、『量』の拡大から『質』の向上に転換して、内容豊富な集約型の新たな道を歩むことが極めて重要です」と説明した。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News