【12月29日 東方新報】中国東北部の黒竜江省(Heilongjiang)ハルビン市(Harbin)で、2025年に第9回アジア冬季競技大会(Asian Winter Games)が行われる。開催まであと1年近くとなり、現地では関連イベントを開いて盛り上げを図っている。

 ハルビンは20世紀初めにスケート場が建設され、ウインタースポーツの長い歴史を持つ。1953年に第1回全国氷上運動会、1996年に第3回アジア冬季競技大会を開催。2009年には、中国としては初めて世界レベルの冬季大会となる第24回ユニバーシアード冬季競技大会(現在の冬季ワールドユニバーシティゲームズ)を開いた。

 中国では2022年に北京冬季五輪が行われたが、国際ウインタースポーツ大会の運営ノウハウはハルビンの地で築かれた。中国オリンピック委員会(COC)は2022年6月、ハルビンに「五輪チャンピオンの都市」の称号を授与している。

 ハルビンではアジア冬季競技大会への機運を盛り上げようと、冬季トライアスロン、スピードスケートマラソン、スキーマラソンといったスポーツイベントを展開していく。氷と雪をテーマにしたショートビデオコンテスト、冬季水泳大会、冬の花火ショーなど多彩なイベントで注目を高めていく。今後は大会本番に向けて会場の運営確認を兼ねたテストマッチも開催していく。

 ハルビンには「中国スキー発祥の地」といわれるヤブリスキー場がある。アジア最長級のアルペンスキーコースがあり、第3回アジア冬季大会やユニバーシアード大会の会場となった。今年は11月9日のオープン以来、1か月弱で過去最高の9万2000人が訪れている。北京冬季五輪の開催で、中国ではウインタースポーツへの関心が高まっている。アジア冬季競技大会の開催は、ウインタースポーツのさらなる発展につながりそうだ。

 アジア冬季大会の歴史を振り返ると、日本と中国がその誕生と発展に大きく関わっている。

 1982年にインド・ニューデリーで第9回アジア競技大会が終わった後、日本オリンピック委員会(JOC)は「アジア地域の冬季スポーツ発展のために、冬季大会も開催してはどうか」とアジアオリンピック評議会(OCA)に提案。これにいち早く同意したのが、中国のオリンピック委員会である当時の中華全国体育総会だった。OCAが了承し、1986年3月に札幌で第1回アジア冬季大会が開催された。

 1990年の第2回大会はインドが名乗りを上げたが、間もなく開催を返上したため、札幌で再び開催した。そして第3回は北朝鮮が立候補したが、同国も開催を返上。ここで中国が「ハルビンなら開催できる」と手を挙げ、1996年にハルビンで第3回大会が開かれた。

 日本と中国が盛り上げてきたアジア冬季競技大会。2025年にハルビンで冬空の中の熱い大会が期待される。(c)東方新報/AFPBB News