【1⽉7⽇ Peopleʼs Daily】中国の生物資源バンクの採集隊員である郭永傑(Guo Yongjie)氏ら8人は2021年9月24日、中国の植物種子採集の最高標高記録に挑戦して再びチョモランマ(Qomolangma、エベレストのチベット名)に登った。それまで世界で公表された、標高6100メートル以上の場所で確実に採集された植物は15種にとどまっていた。

 強風、極寒、酸欠――。チョモランマ登山の一歩一歩には格別の慎重さが必要だ。一行が標高5800メートルの中間キャンプを出発して標高6200メートル付近にまで登った時には、数時間が経過していた。郭氏は「須弥扇葉芥!」と叫んだ。保護色をしているこの植物を一目で見抜いたのだ。さまざまな角度から写真撮影して標高などの位置情報を記録した。標高6212メートルだった。郭氏をさらに喜ばせたのは、この「須弥扇葉芥」の果実の一部が裂けていたことだ。このことは、種子を採集できる可能性があることを意味した。

 採取された種子はすぐに昆明市(Kunming)にある中国西南野生生物資源バンクに送られた。研究に使ったり生態修復の参考にしたりするために、種子の採集時間、場所、緯度経度、標高、種の情報、種子の最初の状態、数量などの情報がデータベースに正確に記録された。

 生物資源バンクの基準では、完全な種子サンプルとみなされるためには少なくとも2500粒の種子が必要で、1万粒程度あれば最適だ。しかし、チョモランマなど高山では植物の種子は極めて希少で、2500粒を採取することは不可能だ。できるだけ多くを採取するしかない。

 生物資源バンク寄託センターでは種子の数を数え計量して須弥扇葉芥、鼠麴雪兔子などの植物の種子を乾燥室に入れた。セ氏15度、湿度15%の環境で1か月間保管したところ、種子の含水率は約5%にまで低下した。

 休眠状態になった貴重な種子は密封され冷凍庫で長期保存される。氷点下20度の恒温条件下で、これらの種子は数十年、さらには数千年も生存することが期待されるという。

 2022年7月には、チョモランマで採取された須弥扇葉芥など貴重な植物の種子5種が発芽管理者の楊娟(Yang Juan)氏によって冷凍庫から取り出された。楊氏は乾燥室で種子を常温に戻してから、その一部を慎重に寒天培地の上に置いた。楊氏によると、生物資源バンク内に保存されている種子が生きていることを確認するための、一定期間ごとの検査だ。「チョモランマの種子」の1回目の発芽実験だった。

 チョモランマの5種の種子は9日後までにすべて発芽した。特に須弥扇葉芥の発芽は、中国がこれまでに世界で最も高い場所での植物種子の採取と保存に成功したことを意味した。

 チョモランマの植物の種子だけでなく、生物資源バンクには中国の有花植物種全体の36%に相当する野生植物の種子1万917種8万7863点が保存されている。中国西南野生生物資源バンクが大切に保管している種子は、生物多様性の保護に一つの希望をもたらしてくれる。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News