【1⽉6⽇ Peopleʼs Daily】中国・深セン市(Shenzhen)はハード分野でもソフト分野でも中国のデジタル経済の重要都市だ。デジタル経済コア産業の付加価値額は2021年には9000億元(約17兆9231億円)を突破し、市のGDPに占める割合は30.5%に達した。

 デジタル化は産業クラスター全体に恩恵をもたらす。海能達通信(ハイテラ、Hytera Communications)深セン工場は世界最大の専門用トランシーバーの生産拠点だ。トランシーバーには1000個以上の部品が必要で、同社はサプライヤー数百社と取り引きしている。同社の孫萌(Sun Meng)高級副総裁は、「以前は予定の数量と時期をメールで伝えていました。変更が生じた場合には調整が困難でした」と説明した。同社は2021年にサプライヤーのデジタル管理システムを導入した。サプライヤーはより早く材料を準備でき、メーカーもサプライヤーの出荷状況を直ちに把握することができるようになったという。

 工業富聯(FII)の深セン工場では、材料投入から物流までの全工程の自動化を実現した。今では工場内で照明を使う必要がない。この「消灯工場」を支えているのが、騰訊(テンセント、Tencent)が提供するクラウドプラットフォームだ。

 テンセントクラウド副総裁でスマート製造責任者の曹磊(Cao Lei)氏によると、工場の生産データはリアルタイムでアップロードされ、人工知能(AI)などが分析して生産を最適化する新たなプランを示す。同社が開発したシステムは42万社の製造企業にサービスを提供し、製造業のデジタル化のハードルを効果的に下げている。

 深センでは「小さくて洗練された」業者の発展も旺盛だ。格創東智科技は約3万件の工業モデルを集積して成熟した工業ソフトウエア開発能力を獲得した。同社の駐華星ITデリバリーセンターの劉豊洋(Liu Fengyang)部長は、「かつての半導体などの業界は一般に外国の工業用ソフトウエアを使っていました。弊社はコンピューター集積製造システムなどのコア工業用ソフトウエアの国産化を実現しました」と述べた。

 劉部長は、深センで極めて多くのデジタルソリューションベンダーが出現した理由について、「深センとその周辺には多くのミドル・ハイエンド製造企業が存在します。例えば電子情報産業の場合、製品の精度が強く求められます。また電子製品は更新速度が速いので、企業は品質を向上させ効率を高める必要があります。デジタル化ソリューションはこのような需要を効果的に満たすことができるのです」と説明した。

 深セン市工業情報局の関係者によると、同市の5G基地局数は2022年末までに6万4000か所に達し、基地局密度は中国全国のトップクラスだ。深セン市では、インフラ整備が進んだことでもデジタル経済の旺盛な発展の堅固な基盤が築かれた。

 また、政府は実際に出費することでもデジタル経済産業を奨励しており、一流のビジネス環境と革新的人材政策も、同市が高水準の発展を続ける条件になった。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News