【1⽉1⽇ Peopleʼs Daily】中国は近年、自国西部から陸と海を経由して国外に至る物流の新ルート「西部陸海新ルート」(以下「西部新ルート」)の構築に力を入れている。2022年には西部新ルートに関連する中国13省(中央直轄市、民族自治区を含む。以下同じ)と東南アジア諸国連合(ASEAN)10か国との貿易額が1300億ドル(約18兆4847億円)を突破した。2017年の西部新ルート開設当初比で73.3%の増加だ。

 四川省(Sichuan)成都(Chengdu)国際鉄道港は貨物列車発着駅だ。この駅は内陸部にあるが、国際列車が発着するので名称に「港」の文字が使われている。この駅を出発して広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)の欽州市(Qinzhou)で貨物を船積みする貨物列車の輸送量も増え続けている。行き先はASEANだ。列車利用により、従来の内陸水運に頼る輸送方式と比べ所要時間が半分以下になった。

 また、2022年末に新成昆鉄道が開通したことで、ラオスのビエンチャンから成都までの輸送時間は2日間と17時間に短縮された。

 今年7月には新たな「瀾滄江-メコン蓉欧快線」が運行を開始した。自動車部品などの貨物を運ぶ列車はタイのラヨーン県を出発し、中国-ラオス鉄道を経由して成都国際鉄道港に至り、さらに欧州に向かってハンガリーのブダペストに到着する。輸送時間は最短で15日に短縮された。

 今年10月までに、西部新ルートのネットワークは中国の18省69都市と世界の120の国と地域を結んだ。今年1-9月の西部新ルートの鉄道輸送貨物量は前年同期比14%増の63万3000TEUに達した。

 貴州省(Guizhou)や雲南省(Yunnan)では、西部新ルートでの「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定」規則の利用を推進している。重慶市(Chongqing)は鉄道の全面迅速通関モデルを構築した。

 西部新ルートで2022年に新たに運行を始めた国際貨物列車は78路線に達し、ラオスのコメやタイのドリアンなどの特色ある製品の中国市場進出を促した。さらにこれらの商品に中国西部産の人気調味料である「貴州ラオガンマー」なども加わり、各国・各地のより多くの特産品が欧州に売られることになった。

 自動車、電子情報などの産業に強みがある重慶では2022年、「一帯一路(Belt and Road)」の共同建設国との貿易総額が3331億4000万元(約6兆6375億円)に達した。そして、世界500強企業のうち319社が相次いで重慶に投資した。また、中国企業がラオス側と協力して現代農業産業パークプロジェクトを手掛けたり、カンボジア側と協力して「輸送・貿易・生産」一体型のバナナのサプライチェーンを模索したりする動きもある。いずれも、西部新ルートの産業けん引効果を示すものだ。

 西部陸海新ルート物流・運営組織センターの劉瑋(Liu Wei)主任は西部新ルートについて、「貿易によって世界の産業の分業と協力をけん引して中国西部地区と東南アジア、欧州市場を連動させることにより、質の高い発展の新局面を切り開くことに役立つ」と紹介した。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News