【1月7日 東方新報】最近、中国の多くの場所で若者たちが「夜校(夜間学校)」に通うようになっている。

 夜間学校といえば、以前は学校に通えなかった勤労青年が読み書きを学ぶ場だったが、現在は日本におけるカルチャー教室の存在に近い。

 講座はダンスや声楽、美術、京劇、フィットネス、語学、写真、書道、ワイン鑑定、無形文化財の手工芸、Vlog(動画ブログ)撮影、トランプのブリッジ(中国では囲碁と共にスポーツとして扱われる)、点心(軽食)などジャンルが非常に幅広い。京劇は国家1級演者の王玉蘭(Wang Yulan)さん、ブリッジは中国ブリッジ協会終身マスターの陸凱(Lu Kai)さん、点心は五つ星ホテルのシェフ仲軍(Zhong Jun)さんが教えるなど、専門分野のトップが講師を務める講座がめじろ押しだ。

 昨年9月、上海市民芸術夜間学校が秋季コースとして382講座、1万人近くの受講生を募集したところ、65万人の申し込みが殺到。ほとんどの講座が1分足らずで満員となり、「転売ヤー」が現れたという話題もあった。希望者の大半は20~30代という。こうした文化講座は児童向けや高齢者向けは以前からあったが、若者や働き盛りの世代に向けた講座は少なかった。

 夜間学校は一つの講座が3か月周期で、料金は500元(約9954円)とお手頃な価格。週に1回午後7時半から9時まで学ぶ。「講座1回につき、ミルクティー2杯分程度の40元(約796円)で、トップクラスの先生から手ほどきを直接受けられる」と爆発的人気となっている。

 こうした夜間学校は公的機関と社会団体が連携して設置し、北京市、西安市(Xi’an)、南京市(Nanjing)、重慶市(Chongqing)、広州市(Guangzhou)など各地で花盛りとなっている。

 夜間学校は若者たちのストレス解消の場にもなっている。広州市の夜間学校でヒップホップダンスを学ぶ女性、燕(Yan)さんは「スピードの速い生活、仕事のプレッシャーなどでたまったストレスを、ダンスが発散してくれます。同じ趣味の仲間もできて、心身がリラックスできる貴重な時間です」と笑顔を浮かべる。

 コーヒー講座を学ぶ男性、張(Zhang)さんは「大学を出て就職して以降、仕事に追われ、休みの日はベッドに転がってスマホをいじるだけの日々でした。夜間学校に通うようになり、学習意欲や自発性がよみがえってきました」と効能を話す。

 21世紀教育研究所の熊丙奇(Xiong Bingqi)所長は、「決して実用的ではない『無用の用』の講座を学ぶことで、若者たちは視野を広げ、人生を豊かにすることにつながっている」と話している。(c)東方新報/AFPBB News