【12月30日 AFP】1924年のパリ五輪が行われたイブデュマノワール競技場(Yves-du-Manoir stadium)は、100年後の2024年大会でも引き続き使用される唯一の会場だ。前回はメイン会場を務めたが、今回はホッケーが開催される。

 パリ北西部のコロンブ(Colombes)地区にあるイブデュマノワール競技場は、1928年に飛行機事故で命を落としたラグビー選手イブデュ・マノワール(Yves du Manor)の名を取り、現在はこの名前で呼ばれている。

 2024年大会では、ホッケー会場として数百人の出場選手と多くの観客を迎え入れる。男女のホッケーは7月27日から8月9日に実施。フランスで人気ナンバーワンのスポーツではないかもしれないが、北欧とアジア、特にインドには多くのファンがいる。

 12月には、改修を請け負った建設会社から、新しい保有者であるオードセーヌ県(Hauts-de-Seine)へ鍵型のシンボルが引き渡され、五輪へ向けて地元当局へ正式に譲渡された最初の会場となった。大会組織委員会によると、前回のパリ五輪から続投するのはここだけだという。

 1924年大会でも五輪に向けた改修が行われ、開会式と陸上、馬術、体操などの競技が実施された。この大会では、英国の陸上短距離選手であるハロルド・エイブラハムス(Harold Abrahams)とエリック・リデル(Eric Liddell)がそれぞれ名勝負を繰り広げ、その様子は1981年の映画『炎のランナー(Chariots of Fire)』で描かれたことでも知られる。

 その後は1938年にサッカーW杯(World Cup)決勝も行われ、第二次世界大戦後には収容人数を6万人に増やした。しかし、1972年にパルク・デ・プランス(Parc des Princes)がパリ西部に開場すると使用機会が減り、20世紀末に四つのスタンドのうち三つが撤去された。今は由緒正しい歴史とは裏腹に、ビル街と高速道路の間を縫うようにして建っている。

 それでも2024年大会のホッケー会場に選ばれたことで、スタジアムは息を吹き返した。2年間の作業を経て、残っていたスタンドの6000席は基準を満たすレベルに改修され、また新たに1000席と、ホッケーその他で使える練習グラウンドも設置。来年2月から4月には仮設スタンドが組まれ、収容人数は合計で1万3500人になるという。

 費用は総額1億100万ユーロ(約159億円)で、そのうち8740万ユーロ(約138億円)を地元自治体が、残りの1360万ユーロ(約21億円)を五輪向けの建設作業を管轄する公的機関ソリデオ(Solideo)が負担する。(c)AFP/Pierrick YVON