【12月15日 AFP】フランス外務省は14日、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)でのイスラエルとイスラム組織ハマス(Hamas)の衝突で多数のジャーナリストが死亡していることに懸念を表明し、フランス通信(AFP)の現地雇用の記者らを退避させるため働き掛けを行っていると明らかにした。

 同省副報道官は「AFP職員については努力を続けている」と述べながらも、「複雑な交渉」だと認めた。

 これに先立ち、AFP職員を含む記者団が仏紙ルモンド(Le Monde)への寄稿で、仏系メディアに協力しているパレスチナ人ジャーナリストがガザを脱出できるよう、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領に支援を要請していた。

 この中で記者団は「衝突勃発以降、外国人はガザを出ることができたが、仏メディアのために現地で取材しているパレスチナ人ジャーナリストには、(ガザとエジプトとの境界にある)ラファ(Rafah)検問所は閉ざされている」と指摘。

「米国はすでに行った。フランスにもできるはずだ。フランスも必ず行わなければならない。われわれの連帯責任だ」と訴え、現地記者らの脱出に向け便宜を図るよう、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相に対する働き掛けをマクロン氏に求めた。

 同報道官はまた、ガザ衝突を取材中に亡くなった記者の尽力をたたえた上で、「イスラエルとハマスの衝突の中で、ジャーナリストが大きな犠牲を払っていることに懸念を抱いている」と述べた。「民間人は保護されなくてはならない。ジャーナリストは特にそうだ。自由に、絶対安全に職務を全うできてしかるべきだ」と強調した。

 米国を拠点にする「ジャーナリスト保護委員会(CPJ)」によると、10月7日以降、ジャーナリストとスタッフ合わせて少なくとも63人が死亡している。このうちパレスチナ人は56人、イスラエル人は4人、レバノン人は3人だった。

 AFPと共に取材に当たっている記者ら約40人とその扶養家族が、現在もガザ地区から脱出できていない。(c)AFP