【12月15日 KOREA WAVE】
ソウル市城北区(ソンブクク)のサムソン公園の遊び場(c)news1
ソウル市城北区(ソンブクク)のサムソン公園の遊び場(c)news1

「人がいないから町に銭湯もない」

先週、韓国京畿道抱川(キョンギド・ポチョン)に行って、このような話を聞いた。そういえば、一時、カルビ屋でかなり賑わっていた街が閑散としている。隣の席にいた住民は「銭湯に入ろうとバスに乗って隣町に行ってくると、1日があっという間に過ぎる」と話す。銭湯がこうだから、病院や学校は言うまでもない。ソウルから1時間の距離、首都圏で起きる「消滅の危険」の赤裸々な断面だ。

ひょっとすると10年、あるいは20年後に迫る深刻な人口減少、国家消滅の危険な前兆である。

首都圏まで迫ってきた地方消滅の危機は、すでにソウル近郊にまで近づいている。ソウル市広津区(クァンジング)の華陽(ファヤン)小学校が今年3月、児童数不足で廃校となった。100年以上の歴史を誇る江東区(カンドング)のある小学校には、今年の入学生が19人にとどまった。1993年、江南区(カンナムグ)に設立された小学校には今年わずか16人だけが入学した。

来年3月に入学する全国の小学校1年生が初めて40万人を切るという報道も出ている。人口減少が地方のみならず首都圏、首都圏を越えて韓国が直面する問題であることを示している。今年第3四半期の合計特殊出生率(女性1人が生涯に産むと予想される平均出生児数)は0.7人まで減少した。ソウルは昨年、これより低い0.59人だ。

◇顔を背けてきた「向こう側にある不安」

表面的にはさまざまなもっともらしい理由が挙げられる。

十数年前から数兆ウォンをつぎ込んできた少子化解消政策が間違っている。

出産奨励にこだわることで問題を解決できるゴールデンタイムは、すでにかなり前に過ぎている。

こうした事実を認めざるを得ない。

顔を背けてきた「向こう側にある不安」が押し寄せ、目の前の現実まで圧迫している。

ハン・ドンフン(韓東勲)法相は今月6日、与党「国民の力」政策議員総会に参加し、仮称「出入国移民管理庁」新設の必要性を、次のように強調した。

「移民政策を講じるかどうか悩む段階を過ぎており、しなければ人口減少による国家消滅の運命を避けられない」

学界で一時、移民に否定的な見方をしていた代表的人口学者であるソウル大学教授のチョ・ヨンテ氏(人口政策研究センター長)も「移民庁をできるだけ早く作って、日本や台湾など、海外よりてどう優位に立つのか計画を立てるべきだ」と指摘する。

◇単一民族神話

我々は、もしかしたら単一民族神話を抱いたまま、指をくわえて見ていただけかもしれない。

人口減少の実質的な代案として外国人政策と移民制度を講じるべきだった時間を、これといった覚悟もなく過ごしてきたのかもしれない。

問題は時間が経つほど韓国内部の問題、人口減少が着実に進行することとは別に、ハン・ドンフン氏やチョ・ヨンテ氏が指摘する通り「唯一の解決策」さえ、日本や台湾に先んじられる可能性があるという点だ。

私たちが手をこまねいている間、他者が待ってくれるというわけではない。これは多くの国の盛衰興亡を見れば明らかだ。事実上の移民戦争が始まったという話だ。

異邦人に対する警戒と不信、排斥はどの文化圏にも存在する。ただ、それを希釈し、溶かし、統合する国が生き残り、力を持って未来に進むことができるということを証明したのが、こんにちの米国と、400年前の清朝だ。

違うからといって追い出すことはない。

このままでは銭湯、学校、病院に行くために隣町どころか隣の国に行ってこなければならないかもしれない。雇用不安、治安不安。「ウジが湧くからと醤油が仕込めないのか(多少の危険があってもしなければならないことがある)」ということわざがある。「会えて嬉しいよ、友よ」と叫んで抱きしめる時だ。遅ればせながら、今からでも。【MONEYTODAY シム・ジェヒョン記者】

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