【12月10日 AFP】イタリア・ポンペイ(Pompeii)遺跡でこのほど、奴隷や目隠しされたロバを閉じ込め、パンの材料となる穀物を挽(ひ)く作業に強制的に従事させたと考えられる「監獄のパン製造所」が見つかった。発掘作業にあたる考古学者らが発表した。

 ポンペイ考古学公園(Archaeological Park of Pompeii)は8日、「遺跡内の家屋の地下から極小の部屋を見つけた。明かりを確保するためにの小さな鉄格子付きの窓が壁上部に設けられていたが、外の景色は見ることはできなかった」と発表した。ポンペイ遺跡の総面積は約44ヘクタールと大きい。

 見つかったパン製造所では、目隠ししたロバを長時間にわたって強制的に働かせたことを示すくぼみが石の床に確認された。

 また調査の結果、家屋は居住区とパン製造所に分かれていたことも分かった。居住区はフレスコ画で装飾されていた。

 パン製造所の一室からは3体の人骨が見つかっており、人が住んでいたことが示唆された。パン製造所に扉はなく、働かされていた奴隷が外部と接触する手段はなかったと考えられる。(c)AFP