ソウル地下鉄1号線清涼里駅近くの「パプポ分かち合い運動本部」(c)MONEYTODAY
ソウル地下鉄1号線清涼里駅近くの「パプポ分かち合い運動本部」(c)MONEYTODAY

【12月07日 KOREA WAVE】「私たちはここがなくなったら行くところがありません。住民センターもご飯はくれないんですよ」

ソウル地下鉄1号線清涼里(チョンリャンリ)駅近くの「バプポ分かち合い運動本部」。11月28日に会ったパク・チュングさん(90)は朝食を食べながらこのように話した。この日の朝食メニューとして、ゆで卵、野菜サラダ、パンなどが提供された。パクさんは「(本部を知らなかった時は)地下鉄に乗って終点まで行って、また戻ってくるようにして時間をつぶした。本部が消えてはならない。高齢者の心とお腹を満たしてくれるサービスエリアだから」と話した。

食堂は午前6時から朝食の準備で忙しかった。おこげご飯を作る食堂は香ばしいにおいでいっぱいだった。開始時間になって高齢者たちが一人二人と食堂に入ってくると、ボランティアたちはさらに忙しく動いた。本部は朝食と昼食の1日2食を担当する。日曜日を除く週6日間運営する。朝食は午前7時から8時まで、昼食は午前11時から午後1時まで提供される。

1人暮らしの高齢者とホームレスの憩いの場になっている本部は1988年、清凉里駅広場でラーメンを作ったことから始まった。現在、毎日500人以上の人々に食べ物を提供している。

本部のボランティアは配膳に参加し、高齢者の前での公演も担う。この日も韓国養子縁組広報会から20人がボランティアに出た。ボランティアのイ・ダウンさん(14)は「ボランティアをするのは初めてだが、お年寄りがたくさん来るので、面倒を見てあげたいと思った。今日はお年寄りの前で歌を歌った。今度またやりたい。とても嬉しい」と話した。学生たちの公演を見たお年寄りの顔には笑いの花が咲いた。

キムさん(78)は「本部が良い点は日曜日を除いて毎日ご飯を出してくれるということ。メニューも毎日変わるが、寄付された物品までも配ってくれるし、名節の時は2000人以上来る時もある。すると列が陸橋の向こうまで長く並ぶこともある」と説明した。

ソウル以外の地域から毎日のように本部を訪れる人もいる。京畿道南楊州市(キョンギド・ナムヤンジュシ)で始発に乗って毎朝本部を訪ねてくるというリュ・ジョンギルさん(90)は「毎日午前5時12分、地下鉄の始発に乗って南楊州から来る。ここに通い始めてからもう10年になる。一人暮らしで、朝食と昼食を食べて来る」と話した。

本部は新型コロナウイルス感染が流行したこの2年間も運営を止めることができなかった。

感染で外で生活することに制約を受け、高齢者が食事を抜くことが多かったためだ。キム・ミギョン副本部長は「感染者が多くなった時、3週間ほど閉めたが、高齢者が外で病気になって死ぬのではなく、飢え死にすると伝えてきた。これを聞いて、お弁当を作ろうと思った」と明らかにした。

(c)MONEYTODAY/KOREA WAVE/AFPBB News