【12月6日 CNS】中国で最近、若者向けのカルチャー講座のような夜間学校が増え続けている。北京市、上海市、杭州市(Hangzhou)、広州市(Guangzhou)など全国各地で、「仕事が終わってから夜間学校に通う」のが新しいナイトライフとなっている。人気の背景には、若者の消費概念の変化も反映されている。

 中国における夜学の歴史は1920年にまでさかのぼる。当時の北京大学(Peking University)の蔡元培(Cai Yuanpei)学長は「用務員夜間学級」と「平民夜間学校」を創設し、多くの人に知識と文化を学ぶ機会を提供した。それ以降、夜間学校は成人教育の重要な部分を占めてきた。1980年代には学び直しの「夜間学校ブーム」も起きたが、現在の夜間学校のカリキュラムは中国絵画、書道、古琴などの伝統芸術のほか、動画ブログ撮影、iPad(アイパッド)の使い方、メイクといった現代のトレンドに沿った内容が多く、受け付け開始から1分で満員となるコースもある。

 上海市民芸術夜間学校は12回の講座で500元(約1万円)というコースを設定し、若者の人気を集めている。これに触発されて広州の青少年文化夜学校もカリキュラムを再編成し、杭州の中国美術学院(China Academy of Art)は特別に夜間学校を立ち上げ、どちらも若者の間で評判となっている。

 現代の若者は、人生においてより多くのことを追求しており、仕事の後に生活の質を向上させ、リラックスし友人をつくることを求めている。

 芸術・文化施設などが主催する公立夜間学校は、一部の個別指導教室に比べて料金が安く、授業も分かりやすい。参加する若者たちは「数百元(100元<約2057円>)で外食や飲みに行くより、自由な時間を自己投資に使った方がいい」と話す。コロナ禍が収束し、若者の間では社会的交流を求めるニーズが高まっており、夜間学校が爆発的に普及する機会にもなっている。

 華東師範大学(East China Normal University)の金忠明(Jin Zhongming)教授は「現代の若者は生活において精神的な充実を重視している。夜間学校の人気は今後も続いていくだろう」と分析している。(c)CNS/JCM/AFPBB News