【12⽉12⽇ Peopleʼs Daily】今年は中国初の自由貿易試験区の上海自由貿易試験区の建設10周年だ。上海自由貿易試験区は投資と貿易の自由化や利便化、金融の開放と革新、政府管理能力の向上などで重要な成果を挙げてきた。

 上海自由貿易試験区は外資投資ネガティブリストを打ち出した。ネガティブリスト中の外資参入の特別管理対象は当初の190項目から27項目に縮小された。うち製造業では対象がゼロになった。

 貿易の「単一窓口」の創設は、貿易の利便化を推進するための重要な改革だ。港湾物流情報サービスを手掛ける上海億通国際の潘小東(Pan Xiaodong)氏は、「税関、検疫、海事、国境検査の部門が情報を共有することで、通関が大いに便利になりました」と述べた。「単一窓口」がサービスを提供する貿易企業は累計60万社を超えた。

 上海自由貿易試験区は中国の他の場所で利用可能な新たな制度の構築に力を入れてきた。中国の各自由貿易試験区で行われた302件の制度改革のうち、約半数がまず上海で試行されたか、上海を含む複数の場所で先行試行されたものだ。

 金融も自由貿易実験の重要な分野だ。JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase)の中国法人であるJPモルガン証券(中国)の陸芳(Lu Fang)最高経営責任者(CEO)は「金融分野ではかつて、外資の投資に株式比率の制限がありました。上海自由貿易試験区は金融開放の最先端を走っています」と述べた。

 上海自由貿易試験区が打ち出した人民元・外貨一体化の自由貿易口座は、人民元のクロスボーダー化の「先兵」だ。すでに人民元・外貨一体型のクロスボーダー決済、クロスボーダー融資などが実現した。上海では計14万4000口の自由貿易口座が開設されている。

 また、上海自由貿易試験区には国際的な資産管理機関が続々と集まっている。資産管理運用会社のシュローダー(Schroders)の中国法人であるシュローダー基金管理(中国)の張蘭(Zhang Lan)社長は「弊社は中国市場の今後を極めて重視しており、さまざまな優位性のある資源を上海に持ち込み、中国における資産運用会社の新たなモデルを模索していきます」と述べた。

 上海市は開放の拡大と改革体制を結び付け、政府機能の転換や管理モデルの刷新、運営メカニズムの最適化、サービス方式の転換を系統的に推進し、市場化、法治化、国際化のビジネス環境改善を続けている。上海市は、市が所管していた行政審査認可事項のうち計100件以上を浦東新区政府に委譲した。

 ローソン(Lawson)は浦東新区で新規店舗を開設した。同社関係者は「かつては開店手続きに2か月近くが必要でしたが、今では2、3日です」と語った。

 上海自由貿易試験区の新規登録企業は2022年末までに8万4000社を超えた。新設された外資プロジェクトは1万4000件を超え、累計586億ドル(約8兆6347億円)の外資が導入された。2022年の浦東新区の域内総生産は2013年の2.5倍の1兆6000億元(約32兆9440億円)に達した。臨港新エリアは設立以来、総生産が年平均で21.2%増加している。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News