係争地の領有権めぐり緊迫化 ベネズエラとガイアナ
このニュースをシェア
【12月6日 AFP】ベネズエラと隣国ガイアナの間で、係争地をめぐり緊張が高まっている。ベネズエラのニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)政権がガイアナ内の係争地の併合を目指しているのに対し、ガイアナは、国連安全保障理事会(UN Security Council)に介入を要請する構えを見せている。
係争地は、ガイアナの国土の3分の2強を占めるエセキボ(Essequibo)地域。同国民80万人のうち12万5000人が居住している。米石油大手エクソンモービル(ExxonMobil)が2015年に同地域の沖合で油田を発見したのを受け、ベネズエラとの対立が鮮明となった。
ベネズエラでは3日、同地域の領有権をめぐって国民投票が行われ、圧倒的多数の95%が同国の領有権を支持する立場を示した。マドゥロ大統領はこれを受け、同地域を併合し、「ガイアナエセキバ」と命名することをうたった法案の国会提出を閣議で提案した。
また、ベネズエラ政府は国営石油会社に対し、原油採掘権入札を行うよう命じた。
こうした事態を受け、ガイアナのアニル・ナンドラル(Anil Nandlall)司法長官兼法相は5日、AFPに対し、同地域をめぐりベネズエラ側に新たな動きが認められれば安保理に訴える意向だと明らかにした。具体的には、国連憲章第41条に基づく制裁、もしくは第42条に基づく軍事行動を要請するとしている。
ガイアナはベネズエラの国民投票に先立ち、国際司法裁判所(ICJ )に対し、生存権への脅威だとして投票実施を阻止するよう要請。ICJは1日、ベネズエラに対し、「係争地の現状変更につながる行動を控えるべきだ」と言い渡した。ただ、ガイアナからの緊急介入要請は受け入れなかった。
ベネズエラはエセキボ地域をめぐる係争に関し、ICJの管轄権を認めていない。同地域の東側面を形成するエセキボ川が自然の境界であり、それは歴史的にも認知されていると主張している。(c)AFP