【11月30日 AFP】第2次世界大戦(World War II)後の国際秩序の形成期に米外交をけん引し、冷戦(Cold War)時代の1970年代には米ニクソン、フォード政権で国務長官を務めたヘンリー・キッシンジャー(Henry Kissinger)氏が29日、米コネチカット州の自宅で死去した。100歳。

 同氏が設立したコンサルティング会社キッシンジャー・アソシエイツ(Kissinger Associates)は同日、「米国の高名な政治学者で政治家でもあったヘンリー・キッシンジャー博士が本日死去した」と発表した。家族葬を行い、後日ニューヨークで追悼式が行われる予定。死因は明らかにされていない。

 キッシンジャー氏は100歳を迎えても精力的に活動し、7月には中国で習近平(Xi Jinping)国家主席と会談した。

 中国外交はキッシンジャー氏が残した最も大きな遺産の一つとされた。冷戦時代にソ連に揺さぶりをかける狙いでひそかに中国と接触。1972年にリチャード・ニクソン(Richard Nixon)による米大統領初の訪中を実現させ、その後の国交正常化につなげた。

 ウォーターゲート(Watergate)事件でニクソンが失脚した後は、続くジェラルド・フォード(Gerald Ford)政権で国務長官と国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めた。前例のない兼任だった。

 1973年には、ベトナム戦争(Vietnam War)の終結を目指した交渉に貢献したとしてノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)を受賞した。

 機密解除された文書によると同年、南米チリでサルバドール・アジェンデ(Salvador Allende)大統領による社会主義政権をアウグスト・ピノチェト(Augusto Pinochet)将軍が倒した軍事クーデターを、キッシンジャー氏は支持した。(c)AFP