【11⽉30⽇ Peopleʼs Daily】中国国家林業および草原局トキ保護国家革新連盟のまとめによると、全世界のトキの個体数は現在までに1万1000羽に達し、一時は「深刻な危機」だった絶滅危惧のレベルは「危機」に変更された。生息地は最初に再発見された陝西省(Shaanxi)漢中市(Hanzhong)洋県(Yang)から東アジアのかつての分布地に徐々に広がり、個体数と生息地面積が共に増加する良好な状況だ。

 トキは「東洋の宝石」として知られる。歴史的には中国、日本、朝鮮半島、ロシア極東地域に広く分布していた。しかし20世紀になると環境変化や人類による影響により世界のトキの個体数は激減し、一時は絶滅したと考えられていた。中国の専門家は1981年に洋県で野生のトキ7羽を再発見した。その後42年間にわたって保護を続けた結果、トキの個体数は発見時の7羽から世界で1万羽の大台を突破するまでに増加した。

 陝西省漢中トキ国家級自然保護区の張躍明(Zhang Yueming)高級技師は、「トキを発見してから十数年間、それぞれの巣の下では私どもの科学研究者やボランティアが24時間体制で監視と保護をしていました」と説明した。当初はこのように個体それぞれの追跡と保護が重点だったが、現在では生態系全体の保護に移行したという。

 トキについては保護や監視、住民コミュニティーによる共同管理などの生息地での活動だけでなく、人工繁殖技術が積極的に研究され、さらに人工飼育したトキを自然に戻す方法も模索されてきた。野生のトキの生息地面積は発見時の5平方キロメートル未満から1万6000平方キロに拡大した。

 陝西省はたゆまぬ努力により、自然に放されたトキを出発点とする、自ら存続が可能な野生のトキの群れを出現させた。野生化のための放鳥を実施した場所は安康市(Ankang)寧陝県(Ningshan)、銅川市(Tongchuan)耀州区、宝鶏市(Baoji)千陽県(Qianyang)、西安市(Xi'an)周至県(Zhouzhi)、渭南市(Weinan)県級華陰市(Huayin)、渭南市臨渭区、西安市藍田県(Lantian)などに及ぶ。陝西省内で放たれたトキは秦嶺山脈を越え、長江(揚子江、Yangtze River)流域や黄河(Yellow River)流域にまで拡大した。現在までに陝西省で野生化したトキの個体群は560羽で、野生のトキの個体総数は6600羽余りに達した。中国全国のトキの個体総数は9800羽余りだ。

 陝西省はさらにここ数年来、158羽のトキを省外に届けることで、20余りの群れの育成を支援している。うち14羽は日本や韓国に送られた。トキについては国際的な共同研究も行われている。トキの保護事業は世界との友好交流の懸け橋にもなっている。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News