【11月28日 AFP】イスラエルのイツハク・ヘルツォグ(Isaac Herzog)大統領は27日、同国を訪れた実業家のイーロン・マスク(Elon Musk)氏と面会し、同氏には反ユダヤ主義根絶に向け果たすべき「大きな役割」があると呼び掛けた。マスク氏が運営するX(旧ツイッター、Twitter)は、反ユダヤ主義を拡散していると非難されている。

 マスク氏は、多数派の白人の割合縮小を狙って不法移民を流入させることをユダヤ人が企図しているとの陰謀論に賛同しているとみられている。米ホワイトハウス(White House)はそれについて、反ユダヤ主義を助長する「忌むべき」行為だと批判。

 ヘルツォグ氏はマスク氏に対して、「あなたには果たすべき大きな役割がある」「われわれは共闘しなければならない。あなたが率いるプラットフォームには、残念ながら反ユダヤ主義が潜んでいる」と語り掛けた。

 大統領府が公開した動画の中でマスク氏は反ユダヤ主義には言及していないが、イスラム組織ハマス(Hamas)の戦闘員について「子どもの頃からプロパガンダを吹き込まれている」と指摘。「幼少期から虚偽の情報に接していると、罪のない人々を殺すのも良いことだと考えるようになる」と話している。

 マスク氏はこれに先立ち、10月7日にハマスに襲撃されたキブツ(生活共同体)を視察し、ベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相や国防省高官とも会談した。

 首相府は、ネタニヤフ氏はマスク氏と「人工知能(AI)の安全保障面」について話し合ったとしている。

 また、シュロモ・カルイ(Shlomo Karhi)通信相は、マスク氏率いる米宇宙開発企業スペースX(SpaceX)が提供する衛星インターネットサービス「スターリンク(Starlink)」について、イスラエルおよびパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)で使用できるようにすることで基本合意に達したと明らかにした。(c)AFP