【11⽉27⽇ Peopleʼs Daily】石炭は中国の重要な従来型エネルギー源であり、全国のエネルギー消費の56%前後を石炭に頼っている。石炭産業には一時期、粗放や高汚染の印象が付きまとった。しかし近年ではクリーンで効率的な利用が強力に推進されている。

 国家能源準能集団の研究開発センターで、スタッフは粘りのある黒い液体を示した。最新の研究成果であるナノ炭化水素燃料で、原料は石炭と水、少量の添加剤だ。関係者は「点火温度が低く、かつ安定した燃焼を維持できるため、火力発電所の石炭使用量を大幅に削減できます」「他にも爆薬、代替燃料、石炭化学工業ガス化など多くの分野で応用できます」と述べた。ある石炭化学工業企業が試用したところ生産性が向上して、年間2億元 (約41億7000万円)ほど増収したという。

 大まかな統計によると、2022年における中国の石炭からの石油生産能力は931万トンで、石炭からのガス生産能力は61億2500万立方メートルに達した。それ以外にも石炭を原料とするオレフィン生産能力は1672万トン、エチレングリコール生産能力は1155万トンに達し、素材としての石炭の利用は増加しつつある。

 内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)オルドス市(Ordos)にある露天掘り炭田では、積載量330トンの鉱山用無人トラックが鉱土を積み込み、2.5キロ離れた荷降ろし場所に向かう。正確で円滑な「採掘・運搬・排出」が実現している。

 国家能源準能集団黒岱溝露天炭鉱の郭培(Guo Pei)氏は「露天炭鉱用のトラックは極めて大型で死角が多いのです」と、その危険性を説明した。新たな無人トラックはレーザーレーダー、ミリ波レーダー、デジタルツインなどの新技術を採用することで、自動的に経路を設定し、正確な停車や積み下ろしをすることができ、運転速度もほぼ従来通りという。

 炭鉱のスマート化を推進することで危険な現場を減らし、人手不足に対応し、安全確保や効率向上を促進できる。国家能源集団、中煤集団、山東能源集団などの重点石炭企業7社は2022年末までに、スマート化年産能力を年産能力全体の74.7%に相当する計13億9300万トンにまで高めた。

 初歩的な統計によると、中国全国で炭鉱スマート化建設の総投資規模は1500億元(約3兆1354億円)を超えており、鉱山のモノのインターネット(IoT)やスマート制御システムなどが急速に導入されている。

 資源の循環利用、価値循環性の向上は、石炭業界のグリーンモデル転換の重要な方向だ。中国石炭工業協会によると、10年前には62%だった中国全国の鉱山水の総合利用率は79.3%に引き上げられ、42%だった土地の埋め立て率は57.8%に、2950万キロワットだった廃石を含む低発熱量石炭の発電設備の容量は4300万キロワットに到達した。また超低排出を実現した石炭電気機械設備の容量は10億5000万キロワットを超えた。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News