【11⽉15⽇ Peopleʼs Daily】中国では、インターネットを通じて注文すれば極めて短い時間で商品が配送される「即時小売」と呼ばれる販売方式が大人気だ。食品類、電子製品、化粧品など、ますます多くの商品がこの方式により、消費者に迅速に届けられている。中国政府・商務部によると、2022年には即時小売の利用件数が400億件を超えた。市場規模は5042億8600万元(約10兆4882億円)に達し、2025年にはさらに3倍になる見通しだ。

 商品の消費者への最終配送は、物流システムの重要な一部だ。中国では近年、商業流通システムの構築が推進され、消費者への最終配送が改善され続けた。そのことで即時小売の新モデルが登場した。

 即時小売の急発展の背景には消費者、特に若年層による需要がある。国際的な総合コンサルティング会社のアクセンチュア(Accenture)の調べによると、1995年以降に生まれた中国人は配送スピードをより重視しており、50%以上が買い物当日、さらには半日以内に商品を受け取りたいと考えている。さらに、7%は注文から2時間以内を望んでいる。

 中国の1-9月のオンライン小売額は前年同期比11.6%増の10兆8000億元(約224兆円)に達した。ネット通販の発達は即時小売の発展にチャンスをもたらした。即時小売は商品種が日増しに豊富になり、サービスエリアが絶えず拡大し、客層が広がり続けている。

 北京市(Beijing)通州区(Tongzhou)で面積80平方メートルの安売りスーパーの経営者は「1か月に数十万元(10万元<約208万円>)の売り上げなんて、以前は考えられませんでした」と説明した。小売プラットフォームが提供する配送サービスにより、この小さなスーパーのサービス半径はかつての1-2キロから5-6キロに拡大したという。

 中国国際貿易促進委員会研究院市場研究部の張継行(Zhang Jixing)副主任は、「技術の変革が小売業の生産側と消費側の双方に大きな変化をもたらしました」と指摘した。「ソーシャルEC、バーティカルECなどの新業態が次々と登場し、即時小売などが活気づいています」という。

 中国チェーン経営協会の報告によると、新型ビジネスモデルのインフラと都市配送サービスネットワークが急速に整ったことで、場合によっては分単位の配達を実現する即時小売が、小売モデル革新の新しい突破口になった。

 中国チェーン経営協会の関係者は、「即時小売は、プラットフォームと既存のオフライン小売業者が協力することで、1プラス1で2以上の結果を得る能力を獲得できます」と説明した。

 商務部研究院電子商取引研究所の洪勇(Hong Yong)副研究員は、「即時小売の発展は従来型の小売業のデジタル化モデル転換の加速に有効です。小売業界のオンラインとオフラインの融合が加速して、新たな消費の成長点が出現しつつあります」との見方を示した。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News