【11⽉14⽇ Peopleʼs Daily】「スマートフォンでご注文いただけば、10日で納車できます」――。中国・湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)にある東風汽車(Dongfeng Motor)工場の責任者は自信満々で語った。

 1本の生産ライン上で黒、青、白などの色が入り交じり、小型車、ミニバン(MPV)、多目的スポーツ車(SUV)などの車種が交錯する。この工場は、ユーザーそれぞれの個性的な求めを同時に満たす、ユーザー本位の革新的な生産モデルを確立した。この「オーダーメード生産」を実現させたのは企業の「革新力」だ。保有する特許は2400件以上で、研究開発者が従業員全体の36.5%を占める。既存のぬるま湯から抜け出し、新たな世界を切り開くには苦しみもある。しかし同時に、創業時のような雰囲気と可能性を現実化しようとする勢いが出現する。

 中国各地の政府は、企業の革新力を引き出すために多くの努力をしている。例えば、強力な新型インフラの提供だ。武漢経済技術開発区では、全域の道路がコネクテッドカーの試験のために、5G通信網、デジタル空間網、スマート道路網の相互連結を実現した。また、科学技術の成果の応用には高リスク・高コストという特徴がある。華中科技大学(Huazhong University of Science and Technology)未来技術革新研究院は初の「パイロット試験サービスプラットフォーム」を創設し、研究開発者が実験室から産業の現場に向かう道を切り開くことを支援している。試行錯誤の余地があってこそ、企業は革新への情熱を大きく燃え上がらせる。

 優れた土壌が各種の美しい花を育てるように、良好な発展環境さえ整えば、企業も細分化された分野で多彩な革新を試みることができる。企業は市場経済の最も活発な細胞だ。さまざまな業界の企業がすべて自発的にイノベーションに取り組めば、経済システム全体が革新を実現できる。

 科学技術革命と産業変革が加速している。ハイエンド化、スマート化、グリーン化は新たな工業のあるべき姿であり、産業のモデルチェンジ・アップグレードの重要な方向性でもある。例えば新たなタイプの倉庫センターでは、2次元コードにより、無人倉庫にある何千点もの貨物を自動的に分類し、仕分けし、移動させ、出庫する。デジタル化による新型工業化は、現代化産業体系の建設に力強い動力を注ぎ込んでいる。

 中国経済は回復を続け、質の高い発展が着実に推進されつつある。そのようなマクロ面の背後には、それぞれの分野で革新を目指す企業があり、個性化と大規模化を結び付けたスマート生産ラインがあり、努力する一般労働者がいる。これがマクロを押し上げるミクロの力だ。各企業を取材していて、最も感動させられるのは未来を信じる企業人の目だ。細かい土が山を形成し、細い流れが深海を形成するように、無数のミクロの主体の躍動する力が総合してマクロ発展の強大な力になる。ミクロの主体の活力こそが、われわれが中国経済に自信を持てる、確固たる基盤なのだ。(c)Peopleʼs Daily /AFPBB News