【11月10日 AFP】国連人権理事会(UN Human Rights Council)は9日、スイス・ジュネーブでドイツについての普遍的定期的審査(UPR)を実施した。イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)の紛争について、イスラエル支持を明確に打ち出す一方、国内でパレスチナ支持派の抗議活動を禁止するドイツの姿勢に対し、主にイスラム教国から非難が相次いだ。

 UPRは国連加盟国(193か国)の人権状況を評価するもので、すべての国が4年ごとに審査を受ける。

 ドイツは今回、断固として人権を尊重する姿勢を広く評価されたが、ガザ紛争をめぐる立場については異例ともいえる批判を浴びた。

 エジプト代表のアハメド・モハラム(Ahmed Moharam)氏は「パレスチナ人の権利に関して、ドイツが取っている好ましくない立場を深く遺憾に思う」と述べた。ヨルダン代表はドイツの「不均衡な立場」を非難した。

 トルコはドイツに対し、「イスラエルが戦争犯罪や人道に対する罪に使用する可能性のある軍事物資や軍装備品の提供を停止する」よう求めた。

 ドイツ連邦議会人権政策・人道支援委員長で、代表団長を務めるルイーズ・アムツベルク(Luise Amtsberg)氏は「ドイツにとって、イスラエルの安全保障と生存権については交渉の余地がない」と述べ、イスラエルの自衛権を繰り返し擁護した。

 ドイツのUPRが行われた9日は、1938年に同国で起きたユダヤ人迫害事件「水晶の夜(Kristallnacht)」から85年目に当たる。この事件は、第2次世界大戦(World War II)中のナチス・ドイツ(Nazi)による欧州のユダヤ人約600万人の虐殺の前兆となった。

 アムツベルク氏はこの歴史を念頭に「ユダヤ人の生活を守ること、そして 『二度と繰り返さない』というわが国の誓いは譲れない」と主張。この1か月で急増している反ユダヤ主義的な行為について「ユダヤ人はもはや安全だとは感じていない」「これを受け入れることはできない」と懸念を表明した。

 また「ドイツ国民はガザ、そしてパレスチナ自治区の民間人のことも当然憂慮している」と強調した。

 イスラエル代表のアディ・ファルジョン(Adi Farjon)氏は、「反ユダヤ主義の惨劇にドイツが向き合い、国内および多国間で講じている措置」を称賛した。

 カタールの代表は「ドイツ国内でガザ住民を支持するデモの参加者に対する制裁などの措置」に懸念を表明。レバノン代表はドイツに対し、「自国民の表現と集会の自由をめぐる権利の尊重し、守る」よう求めた。

 アムツベルク氏は「ドイツでは誰もが自由に意見を表明し、平和的にデモを行う権利がある」「(だが)犯罪行為に関しては制限がある。テロリズムを称賛すべきではない」と答えた。(c)AFP