ナチス政権下での医学的残虐行為、医師らが「中心的役割」
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■より良い「心構えを」
オーストリアの解剖学者エドゥアルト・ペルンコップ(Eduard Pernkopf)ら学者は戦後、「ナチス政権の被害者の遺体」を使った研究で、後世に残る名声を得た。
ペルンコップの解剖学アトラスは広く出版され、ナチスにより殺害された被害者を描いたものである可能性が「非常に高い」ということが明記されないまま、1990年代まで参考書として使われていた。
エリザベート・ヘッカー(Elisabeth Hecker)は、ドイツにおける小児精神医学の祖として長年称賛され、1979年には勲章を授与された。だが、1995年公開のドキュメンタリーで、子どもたちを国内の殺害施設に移送するよう指示を出していたことが明らかになった。
論文のプレスリリースによると、精神科病院の入所者数万人をガス室で殺害するという、1939~41年に「最初に開発された手法」は、後にポーランドの絶滅収容所で応用された。
論文の著者らは医療系の教育課程に、ナチス政権とホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)において行われた医学研究に焦点を当てた授業を組み込むことを提言している。「アウシュビッツ(Auschwitz)で人体実験が行われた」という漠然とした知識しか持っていない医療従事者がいることに「驚かされることが多い」ためだとしている。
過去を学ぶことで、医療従事者たちはこれまでよりも「道徳・倫理的な医療のジレンマや先入観に向き合い、権力に立ち向かい、弱者を守る」ための心構えができるはずだとしている。(c)AFP