【11月12日 AFP】バーレーンのコンビニエンスストアでジャナ・アブドゥラさん(14)は、タブレット型端末を手に買い物をしていた。イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)空爆を支持する欧米のブランドの商品を買わないようにするためだ。

 ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマス(Hamas)による先月7日のイスラエル急襲以降、中東ではイスラエルの友好国、特に米国関連のブランドの不買運動が徐々に広がっている。

 イスラエルによると、ハマスはこの急襲でイスラエル市民ら1200人以上を殺害。イスラエルはガザ地区に報復攻撃を行い、ガザの保健当局によると子どもを含む民間人ら1万人以上が殺されている。

 ジャナさんと弟のアリ君(10)は、以前は毎日のようにマクドナルド(McDonald's)に通っていたが、今は食べない。

 不買運動はティックトックなどのソーシャルメディアを通じて広まり、子どもやその親も西側の有名ブランドを避けるようになっている。

 ジャナさんはAFPに「パレスチナ人に連帯し、イスラエルを支持する(企業の)商品すべての不買運動を始めた」と話した。

 国産の代替商品を探しながら「私たちのお金がこれ以上、戦闘に使われたくない」と付け加えた。

 不買運動の主な標的となっているのは、米ファストフードチェーン、マクドナルド(McDonald's)だ。

 マクドナルド・イスラエルは先月、イスラエル軍に数万食を無償で提供したと発表。中東諸国で大騒動となった。

 法的に別企業であるマクドナルド・クウェートはこれを受け、ガザ地区の人道支援のために16万ドル(約2400万円)を寄付すると明らかにした。また、ソーシャルメディアに「パレスチナを支持する」と投稿した。

 マクドナルド・カタールも先月、27万5000ドル(約4100万円)のガザへの人道支援を打ち出し、イスラエルの企業とは別であることを強調した。

 米マクドナルドは今月、「この紛争に関わるいかなる政府に対しても、資金提供および支持をしていない」と発表した。

 不買運動と並行し、アラブ諸国ではイスラエルとの断交を求める声が上がっており、各国の首都では毎週のように親パレスチナ・デモが行われている。

■「弾丸を買うための金」

 カタールでは、欧米系企業がソーシャルメディアで親イスラエル的な内容を投稿し、事業停止に追い込まれる事例が相次いだ。

 首都ドーハにある米カフェチェーン「プラ・ビダ・マイアミ(Pura Vida Miami)」とフランスの製菓店「メートル・シュー(Maitre Choux)」の店舗は、10月に閉店した。

 一方エジプトでは、不買運動の影響でこれまで見向きもされなかった国産の炭酸飲料ブランドの人気が急上昇。需要の増加に対応するため求人広告を出したところ、1万5000人以上の応募があった。

 クウェートの活動家ミシャリ・イブラヒム(Mishari al-Ibrahim)さんは西側諸国がイスラエルのガザ地区攻撃を支持したため、「クウェート国内の不買運動が強まった」と指摘する。

「西側諸国の人権に関する主張はわれわれには適用されない、という印象をクウェート人に与えた」

 ヨルダンでは「弾丸を買うための金」を支払うなと消費者に呼び掛ける投稿がソーシャルメディアで拡散されている。

 4歳の息子を連れたアブ・アブドラさんは首都アンマンの食料品店で、味付き牛乳の瓶を注意深く調べ「ああ、これはチュニジア産だ」とつぶやいた。

 アブドラさんは不買運動について「ガザの兄弟たちのために、私たちにできるせめてものことだ」「やらなければならない」と話した。(c)AFP