「マイカップ」呼びかけも持参率1%未満 北京のコーヒー店
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【11月1日 CNS】中国・北京で最近、コーヒーチェーン店など21社の飲料企業が「マイカップ持参運動」を呼びかけ、計1100店舗でマイカップで注文した人に2~5元(約40~102円)を割引するサービスを始めた。環境保護への取り組みの一環だが、マイカップを持参する消費者は1パーセントにも満たない。
スターバックス(Starbucks)はマイカップを持参した人に4元(約81円)を割引するサービスを実施。だが、中国メディアの記者がスタバのある店舗で2時間観察したところ、42杯の注文があったがマイカップの人はゼロだった。
太平洋珈琲(Pacific Coffee)北京公司運営部の楊愛連(Yang Ailian)コミュニティマネージャーは、「1月から7月まで、北京の店舗でマイカップの注文数はわずか6000杯で、全体の1パーセントにも及びません」と打ち明ける。
なぜ消費者はマイカップの持参に消極的なのか。買い物に行くたびにコーヒーを買う徐(Xu)さんは「コーヒーのため、いちいちカバンの中にカップやボトルを入れるのは不便です」と説明する。また、コーヒーやミルクティーをデリバリーで頼んだり、事前にオンライン注文をして店舗からテークアウトしたりする人が増えており、マイカップ持参の習慣が根付きにくくなっている。
ピーツ・コーヒー&ティー(Peet's Coffee & Tea)の店舗ではマグカップとガラス製カップがあるが、4人のうち3人は使い捨てのプラスチックカップを選ぶという。
あるコーヒー店の責任者は「マグカップやガラス製カップは洗浄する時間と労力が必要。客も清潔さにこだわりますし、毎日大量にコーヒーを販売する店では、使い捨てのプラスチックカップの方が便利です」と打ち明ける。
中国政府は2020年に「プラスチック汚染の管理強化」を打ち出し、北京市などもその後、「プラスチック制限令」を施行。非生分解性の使い捨てプラスチック食器の使用は禁じているが、飲料店の使い捨てプラスチックカップの代替案はまだ明確になっていない。
中国生物多様性保護・グリーン発展財団の周晋峰(Zhou Jinfeng)副理事長は「企業は便利で安い使い捨てプラスチック製品に依存している」と指摘。企業への規制を強化すべきだと訴える。
飲料用の使い捨てプラスチックカップは現在、リサイクルされていないのが実態だ。ごみ分別専門家の毛達(Mao Da)氏は「飲み物に使われたカップは洗浄する必要があり、リサイクルコストが高い。それにプラスチックカップは軽くて薄いためリサイクル上の価値も低い」と説明する。
周副理事長は「使い捨てカップは自然に分解するのが非常に難しい。他のごみと同じように埋め立てられ、土壌に長期的なダメージを与える。ごみ箱以外に捨てられるカップのプラスチック粒子は川や海に入り、生物に被害を与える」と警鐘を鳴らす。
清華大学(Tsinghua University)・バーゼル条約アジア太平洋地域センター(BCRC中国)研究員の陳源(Chen Yuan)氏は、「飲料を購入する際のデポジット制導入やリサイクルの推進のほか、消費者と企業がリサイクル可能なカップの使用を促進することが必要」と指摘している。(c)CNS-北京日報/JCM/AFPBB News