【10月24日 AFP】米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)は23日、昨年ロシアの右派思想家アレクサンドル・ドゥーギン(Alexander Dugin)氏の娘が死亡した事件について、ウクライナ情報機関の保安局(SBU)が周到に準備した暗殺だったと報じた。猫用のキャリーバッグで密輸された部品を使った爆弾が用いられたという。

 ダリア(Daria Dugina)氏(当時29)は昨年8月、首都モスクワ郊外で車に仕掛けられた爆弾が爆発し死亡。ドゥーギン氏は、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領に近いとされ、ロシアによるウクライナ侵攻を強く支持している。

 ワシントン・ポストが、作戦について知る複数の治安当局者の話として伝えたところによると、事件の数週間前、ある女性とその娘(12)が、物が雑然と積まれた車でエストニアからロシアに入国。車に猫用キャリーバッグも載せられており、その隠しスペースに、殺害に使われた爆弾の部品が入れられていたという。

 ロシア当局はこれまで、この女性はダリア氏と同じ集合住宅内の部屋を借り、作戦決行まで同氏を監視していたと指摘していた。爆弾はドゥーギン氏を暗殺するためのものだったが、同氏は別の車に乗ったため難を逃れた。

 ロシアは事件発生直後から、ウクライナの情報員の犯行だと主張していたが、ウクライナ側はこれを否定していた。

 同紙は、SBUが関与していたとされる今回の事件について、米国とウクライナの現旧高官の話として、ロシアとクリミア(Crimea)半島をつなぐ橋の2度の爆破や、大統領府の屋根へのドローン攻撃、黒海(Black Sea)でのロシア海軍艦への攻撃など、ウクライナ情報機関が進めていた「影の戦争」の一部だったと伝えた。

 また、これらの作戦には「米中央情報局(CIA)との緊密な協力の下で結成され、訓練され、装備が与えられた」ウクライナのチームが関与。ウクライナとCIAの関係は、ロシアによるクリミア併合後の2015年にまでさかのぼるものの、その協力関係の深さはこれまで明かされてこなかったとしている。(c)AFP