英サッカーの「巨人」 ボビー・チャールトン氏が死去 86歳
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【10月22日 AFP】サッカーイングランド代表としてW杯(World Cup)優勝に貢献し、クラブではマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)で活躍した「サッカー界の巨人」ボビー・チャールトン(Bobby Charlton)氏が、21日に86歳で死去した。
チャールトン氏は2020年に認知症を患っていることを公表し、その影響でオールド・トラフォード(Old Trafford)で試合を観戦する姿も見られなくなっていった。
この日シェフィールド・ユナイテッド(Sheffield United)とのアウェーゲームに臨んだユナイテッドの選手は、試合前に相手選手とともにチャールトン氏を悼んだ。
チャールトン氏は、1966年のW杯イングランド大会で母国優勝を果たした代表の主力を担い、ユナイテッドでも1968年にヨーロッパチャンピオンズカップ(European Cup)を制したイングランド初のクラブの一員になるなど、大きな成功を収めた。
その10年前には、チームメート8人が犠牲になった飛行機事故「ミュンヘンの悲劇」を経験したが、マット・バズビー(Matt Busby)監督らと生き残り、けがと事故のショックから復帰した。
1966年のW杯ではチームをけん引し、2020年に85歳で死去した兄のジャック・チャールトン(Jack Charlton)とともにW杯優勝を経験。代表では通算106試合に出場して49ゴールを決めた。
クラブでは1968年、才能あふれるジョージ・ベスト(George Best)らを加えたメンバーで、ウェンブリー・スタジアム(Wembley Stadium)でのベンフィカ(Benfica)とのチャンピオンズカップ決勝に臨み、2得点を決めて延長戦の末の4-1の勝利に貢献した。
1956年にデビューしたユナイテッドでは、公式戦758試合に出場して249ゴールを積み重ねた。二つの記録はそれぞれライアン・ギグス(Ryan Giggs)とウェイン・ルーニー(Wayne Rooney)に抜かれるまで、長年クラブの最多記録だった。ユナイテッドではリーグ優勝3回とFAカップ(FA Cup)制覇1回を経験した。
ユナイテッドでチャールトン氏の通算得点記録を塗り替え、現在はチャンピオンシップリーグ(2部)のバーミンガム・シティ(Birmingham City)を率いるルーニー監督は、レジェンドの死にショックを受けていると明かした。
ルーニー監督は「サー・ボビーは常に自分にとって偉大だった。彼とはサッカーだけでなく、人生の話もした」とコメント。「サッカー界にとって、家族にとって大きな損失だし、それ以上に、大いに寂しがられるだろう」と話した。
元イングランド代表で、現在はBBCで司会者を務めるギャリー・リネカー(Gary Lineker)氏は、チャールトン氏は「私にとって史上最高の選手」とたたえ、「もう私たちと一緒にはいないかもしれないが、サッカー界での彼は不滅だ。安らかに、サー・ボビー」と悼んだ。
英サッカー協会(FA)の総裁を務めるウィリアム皇太子(Prince William)は、SNSにメッセージを寄せ、チャールトン氏は「永遠に記憶される真の偉人」だと表現した。(c)AFP