【10月13日 東方新報】北京市や上海市といった有名都市は、レジャーの視点で見ればどれだけ成熟しているのか? その視点で中国の主要36都市を分析した「2023年中国都市レジャー化指数」の報告書が9月28日に発表され、2011年に最初の報告書が作成されて以来、初めて上海が北京を抜いて1位の座に輝いた。

 同報告書は2011年から上海師範大学(Beijing Normal University)レジャー観光研究センターと華東師範大学(East China Normal University)工商管理学院レジャー研究センターが共同で作成しており、2023年版は13回目の報告となる。

 レジャー化指数とは、「経済と産業の発展状況」「サービスとおもてなし」「余暇の過ごし方や消費」「空間と環境」「交通面の設備と安全」という五つの観点から、合わせて43の指標を用いて都市を評価したもの。

 総合指数のランキング上位5都市は、順に上海市、北京市、広東省(Guangdong)の深セン市(Shenzhen)と広州市(Guangzhou)、四川省(Sichuan)の成都市(Chengdu)。

 前年のランキングと比べると、先に触れたように上海市が北京市を抜いて1位となった他、5位の深セン市が二つランキングを上げて堂々の3位に入り、前年3位だった広州市はワンランクダウンの4位に。成都市が重慶市(Chongqing)を抜いてトップ5入りを果たし、4位だった重慶市は6位に順位を落とした。

 トップ5に続くのは順に重慶市、浙江省(Zhejiang)の杭州市(Hangzhou)、江蘇省(Jiangsu)の南京市(Nanjing)、湖北省(Hubei)の武漢市(Wuhan)、陝西省(Shaanxi)の西安市(Xi’an)。一方、ワースト5はチベット自治区(Tibet Autonomous Region)のラサ市(Lhasa)、内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)のフフホト市(Hohhot)、広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)の南寧市(Nanning)、青海省(Qinghai)の西寧市(Xining)、寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region)の銀川市(Yinchuan)。

 研究チームの分析によれば、トップ10はいずれも大都市もしくは巨大都市であり、人口規模が大きく社会や経済が相対的に発達している。レジャー産業の供給システムが比較的成熟しており、巨大な市場と消費を抱えているためレジャーのレベルを向上させる基礎ができ上がっているという。

 また、2011年の最初の報告を振り抱えれば、都市間の発展の格差が大幅に縮小したという。2011年の報告では第1位の都市と最下位の都市の間で、レジャー化指数は7.64倍の差があったが、今回の報告では両者の差は5.2倍まで縮小された。レジャー化において先行する大都市の波及効果が、格差の縮小に一定の作用を与えているという。

 分野別の評価は必ずしも総合指数とは一致せず、それぞれの都市の特徴が想像できて興味深い。

 例えば、「サービスとおもてなし」の分野では、深セン市、上海市、北京市、広州市、重慶市がトップ5。レジャー関連の文化、観光、娯楽、ショッピング、スポーツなどの設備が整っており、地元の人と旅行客とを合わせた人口優位による経済規模がプラス効果を生んでいるようだ。ワースト5は、甘粛省(Gansu)の蘭州市(Lanzhou)、海南省(Hainan)の海口市(Haikou)、フフホト市、西寧市、銀川市だが、これらの都市は優れた文化観光資源があるもの、残念ながらそれらを産業として利用していくにはまだ時間が必要だとしている。

「レジャー空間と環境」の分野では、空気の質、都市の緑化率などの指標が含まれるといい、広州市、重慶市、上海市、深セン市、浙江省の寧波市(Ningbo)がトップ5だった。

 研究チームは36都市のレジャー化指数を通じ、これらの都市が他都市のレジャー化をレベルアップさせるけん引役となり、内需拡大への貢献や観光資源を備えた都市や街づくりの参考となるよう期待しているという。(c)東方新報/AFPBB News