【10月12日 AFP】日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕(Yasuhiro Yamashita)会長は11日、札幌市が2030年冬季五輪の招致を断念することを発表した。

 2021年東京五輪招致をめぐる汚職、談合事件の影響があった中、山下会長は記者会見で、「拙速に招致活動を進めていくことは、五輪が持つ価値に回復し難い傷を負わせてしまう可能性があるとJOCとして考え、2034年以降の冬季大会招致への変更を提案した」と説明した。

 札幌市の秋元克広(Katsuhiro Akimoto)市長は、東京五輪の事件により五輪に対する「不信感」が増大し、市民から「不安や懸念の声」が寄せられたと述べた。山下会長は、大会経費も課題の一つだったと明かした。

 一時は札幌市が最有力候補だった30年冬季五輪をめぐっては、カナダ・バンクーバー(Vancouver)やスペインのバルセロナ(Barcelona)・サラゴサ(Zaragoza)なども招致を断念している。

 国際オリンピック委員会(IOC)は当初、年内に開催地を発表する予定だったが、気候変動に伴う課題を理由に決定を24年以降に先送りするとしている。

 残る開催候補地は少なく、スウェーデン・オリンピック連盟(SOC)が招致に乗り出す意向を示している一方で、02年大会を開催した米ソルトレークシティー(Salt Lake City)も30年より34年大会の招致を優先するとしている。(c)AFP/Kyoko HASEGAWA