【10⽉11⽇ Peopleʼs Daily】北京市朝陽区(Chaoyang)の三里屯(Sanlitun)商圏は食事時を迎えた。飲食店内ではロボットがひっきりなしに動き、客に順番待ちの状況を示すこともしている。駐車場も手間いらずだ。利用者はスマートフォンで無料駐車時間や駐車料金などを調べられる。駐車場は、利用者に代わって駐車作業を行う機能も備えている。

 化粧品店では、客が拡張現実(AR)技術による「魔法の鏡」をのぞきこむ。化粧の前後の比較を表示してくれるので、適切な化粧品を選ぶのに役立つ。

 中国では消費の高度化に対応して、5G、IoT(モノのインターネット)、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、人工知能(AI)、仮想現実(VR)などを活用したスマート店舗の建設が加速中だ。

 江蘇省(Jiangsu)南京市(Nanjing)・新街口の蘇寧易家旗艦店では、多くの家電製品のバーチャル体験が可能だ。同店はライブ配信や家庭全体における家電製品の配置を選ぶオンライン3Dコーディネートなども提供している。

 同店では7月28日から8月18日にかけて、来店者数が前年同期比で56%増加した。スマート掃除ロボットの販売台数は同165%増、スマート洗濯乾燥機は同118%増、省エネ冷蔵庫は同73%増だった。スマートモールによる新たな体験が消費を強くけん引している。

 陝西省(Shaanxi)西安市(Xi'an)の京東(JD.com)MALL没入型総合ショッピングセンターに来た李莉(Li Li)さんは「まるでSFの世界にいるようです」と語った。同センターは4万平方メートル以上もあり、外壁には巨大な裸眼3Dスクリーンが設置されている。店内にはプロジェクションマッピング、VR装備、スマートロボット、バーチャルライブルーム、電気回路が透けて見える機械室などがあり、新鮮な視覚効果をもたらしている。

 高効率化も重要だ。重慶(Chongqing)市内の来福士ショッピングセンターではスマート電力制御、スマート環境モニタリングなどによりコストを大幅削減した。空調と照明のスマート調整だけで、エネルギー消費量を約30%節約できたという。

 中国国際貿易促進委員会研究院市場研究部の張継行(Zhang Jixing)副主任は、「実店舗による小売業は、コスト上昇や消費需要の構造変化、ネット小売の急速な発展などの影響に直面しています」と指摘した。しかし実店舗での買い物はネット通販とは異なり、ショッピング、娯楽、飲食、観光の一体化体験をもたらし、消費者が実際に商品を手に取って選び、すぐに使ってみたい欲求を満たすこともできる。多様化と個性化を続ける消費者に対応できれば、実店舗は新たな活力を得ることができる。

 商務部研究院電子商取引研究所の洪勇(Hong Yong)副研究員は「商業施設のモデルチェンジの主たる方向はスマート化です」「インターネットやビッグデータなどの次世代情報技術の応用をさらに強化し、流通効率とサービス水準を高め、消費者により多くの新たな供給を提供すべきです」と述べた。(c)Peopleʼs Daily /AFPBB News