【10月10日 AFP】南米コロンビアのグスタボ・ペトロ(Gustavo Petro)大統領は9日、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)を実効支配するイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)による攻撃への報復としてイスラエルがガザ地区を攻撃していることをナチス・ドイツ(Nazi)によるユダヤ人迫害になぞらえた。

 イスラエルのヨアブ・ガラント(Yoav Gallant)国防相は、ガザ地区を「完全包囲」し、住民230万人の「電気と食料、燃料を遮断」すると表明。「われわれは(人以外の)動物と戦っている。相応の措置を取る」と述べていた。

 ガザ住民を「動物」呼ばわりするガラント氏の発言を受け、ペトロ氏は「ナチスもユダヤ人をこう呼んでいた」「民主主義国家の諸国民は、国際政治の場におけるナチズムの再興を許すことはできない」とX(旧ツイッター)で指摘。

 さらに、ガラント氏の発言は「ヘイトスピーチ(憎悪表現)」に相当し、今後も同様の表現が許されるなら「ホロコースト(Holocaust、ユダヤ人に対して行われた大量虐殺)をもたらすだけだ」と述べた。

 ハマスの奇襲攻撃で数百人が死亡したのを受け、イスラエルは報復として3日にわたってガザ地区を空爆した。ハマスは多数の人質を取っており、うち2人はコロンビア人とみられている。

 ペトロ氏は7日以降、SNSで多数のコメントを発表。イスラエルの駐コロンビア大使、ガリ・ダガン(Gali Dagan)氏と激しい応酬を繰り広げた。

 ダガン氏が「罪のない民間人に対するテロ攻撃」を非難するよう求めると、ペトロ氏は「コロンビアであれパレスチナであれ、テロリズムとは罪のない子どもを殺すことだ」と応じ、イスラエルとパレスチナの双方に和平交渉を促した。

 さらに、ダガン氏がエルサレム(Jerusalem)のホロコースト記念館とアウシュビッツ・ビルケナウ(Auschwitz-Birkenau)強制収容所の跡地にある博物館をぜひ訪れてほしいと呼び掛けると、ペトロ氏は、ホロコーストが「ガザで再現されようとしている」と反論。

「ガザを強制収容所と化すのを容認する民主主義者は、世界に一人もいない」と付け加えた。(c)AFP