【10月6日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は5日、カナダ議会がウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領の訪問時にナチス・ドイツ(Nazi)の親衛隊(SS)の一員として戦ったウクライナ移民の男性(98)を招いて称賛したことをめぐり、カナダの前下院議長を「ばか」呼ばわりした。

 カナダのアンソニー・ルタ(Anthony Ruta)前下院議長は先月、ゼレンスキー氏がカナダを訪問した際、自身の選挙区に住むこの退役軍人の男性を議会に招き、第2次世界大戦(World War II)の英雄としてたたえた。男性が紹介されると、議場内ではスタンディングオベーションが起きた。

 だが、後にこの男性がナチス親衛隊に所属していたことが判明。ルタ氏は下院議長を辞職した。

 プーチン氏は「このカナダ系ウクライナ人あるいはウクライナ系カナダ人のナチが、第2次世界大戦中にロシアと戦ったと言うならば、それは(ナチス・ドイツ総統アドルフ・)ヒトラー(Adolf Hitler)の側で戦ったのだということを、カナダ下院議長が理解していないはずがない」と非難した。

 さらに「仮にヒトラーとその手下が大戦中にロシアと戦ったことを知らないとすれば、彼(ルタ氏)はばかだ。学校に行っていないということだ」と糾弾。この男性がナチス側で戦っていたことをルタ氏が承知していたならば「恥知らず」で「どっちもどっちだ」と切り捨て、「ユダヤ人の血を引くウクライナ大統領を筆頭に全員が、このナチに拍手を送るのは不快極まりない光景だった」と述べた。

 プーチン氏はウクライナ侵攻の口実の一つに、ウクライナの「非ナチ化」を挙げている。(c)AFP