【10月03日 KOREA WAVE】
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「あの紫色の店は何だろう」

8月初め、オーストラリアのシドニー中心街。世界各国の有名ブランドが集まる大規模ショッピングモール「ウェストフィール・シドニー」1階にとりわけ目を引く店を見つけた。「ひょっとしたら」と思いながら、一面紫色で飾られたその店に足を運んだ。「やはり」。世界的K-POPグループ「防弾少年団(BTS)」のメンバー7人の可愛いキャラクター人形が迎えてくれた。

今年5月にオープンしたというポップアップストア「スペース・オブ・BTS・イン・シドニー」(Space of BTS in Sydney)。

みなBTSのファンクラブ「ARMY」の会員ではないだろうが、多様な人々がTシャツからキーホルダーまでBTSグッズを見ながら話に花を咲かせていた。レジで購入したグッズを渡され、満面の笑みを浮かべるある現地人カップルの姿を見て、胸が熱くなった。「クッポン」(過剰で盲目的な愛国主義)とは違う。

世界的な観光地シドニーのど真ん中のホットプレイスに、韓国が生んだポップスターBTSのグッズショップがあるなんて。でもそれは、世界市場で占めるBTSをはじめとするK-POPの地位を示す一部分でしかない。

◇「テイラーノミクス」「スウィフトノミクス」

今年、米国経済で最もホットな人物は誰だろうか。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長や他の著名な経済学者ではない。意外だが、それは1989年生まれの世界トップクラスのポップ歌手、テイラー・スウィフトだ。

3月に始まったスウィフトのグローバルツアー「ジ・エラスツアー」が、世界最大の米国経済を動揺させたためだ。スウィフトは8月まで計52回、米国内で公演した。来年11月まで世界を回りながら計146公演をする計画だ。

新型コロナウイルス禍で積もりに積もった公演への渇望を解消するためだ。

最初の米国公演の前売り券発売当時、なんと1400万人が競争に参加した。米国の公演収益だけでも少なくとも10億ドル、世界公演の収益はなんと20億ドルに達する見通しだ。

これだけではない。スウィフトの公演が開かれる地域は、集まった人が食べ物を買って食べたり、宿泊したりするなど莫大な経済効果が発生した。FRBが注目するほどだ。スウィフトの米国公演が地域経済にもたらした消費効果は、実に46億ドルに上るという分析も出ている。

テイラー・スウィフトと経済を合わせた「テイラーノミクス」または「スウィフトノミクス」という新造語も登場した。

◇システムのグローバル化

「K-POPからKを取り外さなければならない」

「最も韓国的なことが最も世界的なことだ」

BTSの生みの親と呼ばれる韓国最大手芸能事務所「HYBE(ハイブ)」の創業者、パン・シヒョク議長の言葉だ。

彼の説明を聞いてみよう。

「K-POPが真の世界の主流となるためには、Kを外した『POP』そのものにならなければならない」

単純にK-POP歌手1人ではなく、最初からK-POPの製作システムを世界最大市場であり、ポップスの本場である米国に移植し、新たな成長の足場を作らなければならないという意味だ。

K-POPのこれまでの成功は驚くべきことだが、ハイブなどK-POP企業のグローバルアルバム・音源市場占有率(売り上げ基準)は2%にも満たない。

米国など主要市場でK-POPの成長率も伸び悩んでいる。まだ「満足」ではなく「危機感」が必要だというわけだ。パン議長がこの2年間、米国でK-POP製作システムで世界の人材を発掘し育成する「ザ・デビュー:ドリームプロジェクト」を野心的に準備したのもそのためだ。

「1人の天才が10万人を養う」という言葉がある。今や立派に育てた歌手1人が一国を越えて世界経済を踊らせる時代だ。

米国にテイラー・スウィフトがいるなら、私たちにはBTSがいる。「BLACKPINK(ブラックピンク)」もいる。

システムのグローバル化という新たな挑戦を通じ、K-POPが一段階飛躍することで、危機の韓国経済に活力を吹き込むことを期待する。【MONEYTODAYデジタルニュース部長兼コンテンツ総括 ソン・ジョンヨル】

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