【10月3日 CNS】中国・杭州市(Hangzhou)で開かれている第19回アジア競技大会(19th Asian GamesAsiad)のメイン会場となるスタジアムは、市内を流れる銭塘江(Qiantang River)の両岸に咲くハスの花のような外観で注目されている。

 開会式会場として、杭州オリンピックスポーツセンタースタジアムの「大蓮花(ビッグロータス)」が9月23日夜に華々しくお披露目された。「大蓮花」は隣のテニスセンター「小蓮花(リトルロータス)」スタジアムと共に独特の外観と高度な技術を備え、杭州の新しいランドマークになっている。

 このスタジアムは8万人以上を収容でき、アジア大会村から約3キロ離れた銭塘江南岸に位置する。地上6階建て、地下は2階まであり、敷地面積は約30万平方メートルの規模を持つ。建物には鉄骨構造が採用され、最新の建築技術と中国の伝統要素を組み合わせたデザインが目をひく。

 そのデザインは古代の絹からインスピレーションを得たといい、上空から見ると、屋根には28枚の大きな「花びら」と27枚の小さな「花びら」が配置され、まるで銭塘江のほとりに咲く「大きなハスの花」のようだ。

 大会では、「大蓮花」は開会式と閉会式の会場に選ばれ、陸上競技などにも使われている。この建築は多くの分野で賞を受賞しており、 2021年2月には中国建設工学分野の最高賞である魯班賞を受賞した。

「大蓮花」の隣に位置するテニスセンターは「小蓮花」として知られ、互いを引き立てている。小蓮花も「花びら」のデザインを採用しており、下半分は24枚の「花びら」、屋根の上半分は回転する8枚の「花びら」で構成されている。「花びら」1枚あたりの重さは約160トンもある。

 小蓮花の特徴は回転開閉の屋根だ。屋根の8枚の「花びら」はコンピューター制御で開閉する仕組み。開閉プロセスには20分しかかからない。これらの「花びら」はさまざまなシーンに応じて点灯、ライトアップされて、視覚的なインパクトを生み出すこともできる。

 大蓮花、小蓮花の内部オペレーションシステムには最新技術が使われている。2万台以上のデバイスと8万台以上の機器ユニットがリンクされており、リアルタイムでエネルギー消費をモニターできる。二酸化炭素、炭素排出量などもカウント可能だ。

 デジタル分野の責任者である彭衛(Peng Wei)氏は、「このスタジアムのデジタル管理センターでは、会場内に点在する空調や換気、冷熱源、給排水などの稼働状況を、スマートシステムを通じて把握できるほか、人工知能によってエネルギー消費量を従来から10パーセント以上削減している」と話す。

「大蓮花」は8万人以上を収容できる中国でも数少ない大規模スタジアムだが、最新の通信技術を使用することによって、何万人もの観客が同時に5G通信網を使用して動画などの送受信をできるようにしたことも特筆される。(c)CNS/JCM/AFPBB News