(写真=gettyimagesBank)(c)MONEYTODAY
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【10月01日 KOREA WAVE】「ウソク、お金を貸してくれる? 投資するところが少しあって……」。離れて暮らす母親に「何かあったのだ」とウソクさんが感じたのは昨年10月だった。孤独な人を食い物にするロマンス詐欺は韓国でも横行している。

発端はウソクさんの母親がカカオストーリーに載せた写真だった。母親は1962年生まれの61歳。通常、中高年層が多く使うSNSだった。

詐欺師は米軍の医師を名乗った。ウソクさんが見た時は「翻訳機を使ったぎこちない言葉遣い」だったが、母親は疑わなかった。

信じ込ませるため、医師らしく白いガウンを着た写真や米軍の証明書とされる書類も送られていた。粗末なフォトショップで作ったとみられる手術の場面の写真まであった。

「母親が偽米軍とビデオ通話までしたと言っていました」とウソクさん。母親は「外国人だ」と固く信じていた。

やりとりが3~4カ月続いたころ、相手は「本論」を切り出した。

「韓国に行かねばならず、お金が必要だ。500万ウォン(約55万円)送ってくれないか。会った時に返す」

詐欺師は歓心を買おうと「愛しい」という言葉もちゅうちょなく使った。結婚の約束もした。

母親はATMやスマートバンキングで1回2000万~3000万ウォン(約220万~330万円)送り、揚げ句の果てに融資まで受けて金を作った。

ウソクさんがその事実を知り、警察に通報した後も要求は続いた。

送り先の2、3の口座だったが、警察が追跡すると、いずれも被害に遭った人たちの通帳だった。金は引き出されビットコインを購入した形跡があった。

母親が融資を受けた金額1億3000万ウォン(約1440万円)を兄弟で分担して返済した。母親が苦労して働いて得た退職金も充てた。母親は深く傷付き、子供に対する自責の念も大きかった。

サイバーチームの捜査官は「振込先もほとんど被害者の口座を使うため、とても複雑になっている。最近は暗号資産(仮想通貨)で送ってほしいという被害が多い。デポフォン(他人名義の携帯電話)が使われ、追跡は困難だ。高齢の被害者が多いので、気をつけるよう周囲も注意してほしい」と呼びかけている。

(c)MONEYTODAY/KOREA WAVE/AFPBB News