中国に「エッフェル塔」 アジア大会に沸く杭州近郊
このニュースをシェア
【9月28日 AFP】「エッフェル塔(Eiffel Tower)」のそばに凝った装飾の噴水があり、若い女性がプードルを連れて付近を散歩している。大通りの両側には、屋根とバルコニーに特徴があり、「アパルトマン」をほうふつさせる集合住宅が立ち並んでいる。ここは中国・天都城(Tianducheng)。店舗の看板が中国語で書かれていなければ、フランスの首都パリと見まがう風景だ。
この住宅街は、2000年代に建設された。第19回アジア競技大会(19th Asian Games、Asiad)が先週開幕し、選手約1万2000人が集結している杭州(Hangzhou)近郊にある。
中国では21世紀初頭に、異国情緒を醸し出すあらゆる物がもてはやされた。今では奇抜に見えるこの天都城も、その時期の名残をとどめた場所の一つだ。
かつて高級住宅地とうたわれ、フランス関連の文化行事があれば会場になっていた天都城だが、徐々に店舗も住宅も空きが目立つようになっていた。街路樹に縁取られた大通りの集合住宅に買い手が戻ってきたのは、杭州のIT産業が活気付いてからだ。
欧米から着想を得て開発された地区は、中国各地に存在する。上海には英国風のテムズ・タウン(Thames Town)があり、北京近郊には、米カリフォルニア州の一角をそのまま持ち込んだような街がある。その名も「オレンジ郡(Orange County)」を直訳した「橘郡(Jujun)」だ。
しかし中国政府は近年、外国風の「奇妙な」建築物の取り締まりを進めており、異国情緒をたたえた街は遺物となりつつある。(c)AFP