【9月25日 東方新報】21世紀に入り経済の急成長が続くアフリカ諸国は、「援助」から「投資」「市場」の対象に変わってきている。鉄道や発電、空港などのインフラ建設需要が高く、それを支えているのが中国企業だ。2020年に中国企業が締結したアフリカにおける新規建設プロジェクトの金額は、前年比21.4パーセント増の679億ドル(約10兆709億円)におよぶ。

 国連貿易開発会議(UNCTAD)などによると、アフリカに進出する中国企業の拠点数は約5000に上り、中国の対アフリカ直接投資残高(2020年)は約400億ドル(約5兆9328億円)に達する。日本企業の拠点数927、直接投資残高約50億ドル(約7416億円)と比べても規模と金額で圧倒的に上回っており、アフリカにおける中国の存在感は年々高まっている。

 中国とケニアの両政府は2014年に鉄道建設の契約を締結。国有企業の中国交通建設集団(China Communications Construction)系列企業が工事を請け負い、東アフリカ最大の港湾都市モンバサから首都ナイロビまで480キロの路線を完成させ、2017年から営業運転を開始した。工事に携わった陳順祥(Chen Shunxiang)氏は「建設ルートの一帯は歴史上多くの火山があり、地層はマグマ岩石と軟弱な土からなる構造。鉄路建設は想像をはるかに超えて困難でしたが、問題を一つずつ解決していきました」と振り返る。

 建設によりケニア国内で3万人以上の直接雇用が生まれ、ケニア経済の底上げにつながっているほか、鉄道が大動脈となって国内の物流コスト削減をもたらしている。

 建設工事の現場では少数の中国人の技術者が、多くのケニア人スタッフに技術指導を行っている。将来的に中国スタッフが離れても、現地の人びとで運営していくためだ。古代中国の思想家・老子の「飢えた人に魚を与えるか、魚の釣り方を教えるか」という格言に基づき、「魚の釣り方」を指導している。

 鉄道はさらにナイロビからウガンダ国境マラバまでの区間を延伸しており、2030年までにウガンダの首都カンパラへ、最終的にはルワンダ、ブルンジ、タンザニア、エチオピアなど東アフリカの周辺諸国まで延伸する構想だ。

 アフリカ南端の南アフリカと中国の関係も深い。南アフリカ北ケープ州デ・アール風力発電プロジェクトは、中国の風力発電大手、龍源電力集団(China Longyuan Power Group)の現地支社が運営。年間発電量は7億5000万キロワット時を超え、石炭消費約20万トン、二酸化炭素(CO2)排出約60万トンの削減に相当する。石炭火力発電に80パーセント依存している南アフリカのエネルギーバランスを改善し、環境保護にもつなげている。

 南アフリカでは都市開発や橋梁(きょうりょう)の建設、電気自動車(EV)の普及など多くの分野で中国企業が活躍している。

「世界最大の発展途上国」を自称してきた中国は、アフリカ諸国と長年の協力関係にある。タンザニアのダル・エス・サラームとザンビアのカプリムポシを結ぶ全長1860キロにおよぶ「タンザン鉄道」は、中国の援助により1970年に着工し、1975年に完成。中国とアフリカ諸国との結びつきを象徴するものとして、今も語り継がれている。

 2000年からは、中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC)が3年おきに開催されている。開催地は中国とアフリカ諸国と交互にしており、外交的な交流を深めている。

 エネルギー資源が豊富で、2050年には世界人口の25パーセントを占める新興市場としても魅力的なアフリカ。中国は今後もアフリカ諸国とウィンウィンの関係を築こうとしている。(c)東方新報/AFPBB News