【9月24日 AFP】米メリーランド大学医学部(University of Maryland Medical School)は22日、58歳の男性に遺伝子操作されたブタの心臓を移植したと発表した。同大は昨年にも世界初となるブタの心臓の移植を行っており、今回が2例目となる。

 移植手術は20日に行われた。患者のローレンス・フォーセット(Lawrence Faucette)さんは、血管障害と内出血の合併症のため人間の心臓の移植を受けられなかった。手術を前に「ブタの心臓に望みをかけるしかない」とコメントしていた。

 同大によると、術後、フォーセットさんは自発呼吸しており、移植された心臓も「補助装置の助けなしで」機能している。現在、一般的な拒絶反応抑制剤を服用するとともに、身体が悪影響を受けたり移植された心臓に拒絶反応を起こしたりしないよう、新たな抗体治療を受けているという。

 動物から人間への臓器移植は、患者の免疫システムが移植された臓器を異物とみなして攻撃するため難しい。その問題を克服するため、遺伝子操作されたブタが使われた。

 しかし、昨年の移植事例では、患者は術後2か月で死亡した。同大は、術前から「患者の体力が低下していたことなど複合要因」によるものとしている。

 米国では現在、10万人以上の患者が臓器提供待ちの状態にある。ただ、人間の臓器提供は慢性的に不足しているため、動物の臓器移植が問題の解消につながると期待されている。(c)AFP