【9月22日 AFP】ウクライナ中部クリビーリフ(Kryvyi Rih)の軍事演習場で、エンジニアのビタリーさんは日立(Hitachi)のショベルカーを改造して造った地雷除去車の性能試験に臨んだ。

 戦闘に見舞われた地域の住民は、不発弾や地雷などを効率的に探知・爆破処理する方法を模索している。

 ビタリーさんの地雷除去車について知ったクリビーリフ当局は、市内での地雷除去支援を依頼。ビタリーさんは軍の地雷工兵部隊の司令官と相談し、地雷除去車に装甲を取り付けた。

 ショベルカーのアームの先には、大きな防護板と重り付きの鎖が付いたローターがある。重りが地面にたたきつけられると、地雷は地中に埋設されている物も含め、爆発するか、破壊される。

 発想自体が目新しいわけではないが、ビタリーさんは地雷除去車の国内生産を後押しし、高価な輸入車を使わなくて済むよう、政府の援助が受けられればと考えている。

 軍の関係機関が先週行った性能試験で、ビタリーさんの地雷除去車は対人地雷10個と対戦車地雷5個の破壊に成功。部品の一部や防護板などが損傷したが、ビタリーさんはこの程度なら簡単に修理できると話した。

 対人地雷の試験をする際は運転席に人が座ったが、対戦車地雷の除去ではリモート機能を用い、安全な距離を保って操作した。

「ここでの地雷除去のスピードは、1時間に最大で2キロを想定している。(ローターの)幅は4.5メートルあり、毎時9000平方メートルをカバーできる。どんな地雷工兵でもこのペースでは作業できない」とビタリーさん。ただし、森林地帯など特定の地形には対応していないという。

 当局の地雷除去専門家は、「作業員に代わるものはない。機械はどこにでも行けるわけではなく、あらゆる場所を見ることもできない」として、「目と手、それが何より最初に使うものだ」と指摘した。

 その一方で、「畑などの広い場所なら、機械の方が速く進むことができ、大体うまくいく。われわれにも必要な物だ」と語り、当局でも入手予定だとしている。

 映像は13~16日撮影・一部提供。(c)AFP/Anna MALPAS